「トッカイ」清武英利著

公開日: 更新日:

 京都の老舗の仏具屋に、寺を売りたいという相談が持ち込まれた。仏具屋が不動産業者の西山を紹介すると、後日、西山にこう聞かれた。

「国宝いうもんが、いくらぐらいするか、おまえ、知ってるか?」

 やがて、落魄(らくはく)した名刹(めいさつ)、大雲寺から釣り鐘や十一面観音像などが消えるという事件が起きる。地価が急上昇した1989年ごろには、京都中で神社仏閣の移転話が広がっていった。

 西山は僧侶や神主、祇園に食い込み、住宅金融専門会社を利用してビジネスを展開するようになる。

 そして、大阪でも花街を買い占める男が現れ、日本住宅金融が特別回収隊をつくるのだった。

 バブル崩壊後、不良債権回収に取り組んだ整理回収機構特別回収部の男たちの攻防を描くノンフィクション。

(講談社 1700円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元横綱・三重ノ海剛司さんは邸宅で毎日のんびりの日々 今の時代の「弟子を育てる」難しさも語る

  2. 2

    矢沢永吉&甲斐よしひろ“70代レジェンド”に東京の夜が熱狂!鈴木京香もうっとりの裏で「残る不安」

  3. 3

    巨人・岡本和真を直撃「メジャー挑戦組が“辞退”する中、侍J強化試合になぜ出場?」

  4. 4

    “最強の新弟子”旭富士に歴代最速スピード出世の期待…「関取までは無敗で行ける」の見立てまで

  5. 5

    “文春砲”で不倫バレ柳裕也の中日残留に飛び交う憶測…巨人はソフトB有原まで逃しFA戦線いきなり2敗

  1. 6

    【独自】自維連立のキーマン 遠藤敬首相補佐官に企業からの違法な寄付疑惑浮上

  2. 7

    物価高放置のバラマキ経済対策に「消費不況の恐れ」と専門家警鐘…「高すぎてコメ買えない」が暗示するもの

  3. 8

    福島市長選で与野党相乗り現職が大差で落選…「既成政党NO」の地殻変動なのか

  4. 9

    Snow Manライブで"全裸"ファンの怪情報も…他グループにも出没する下着や水着"珍客"は犯罪じゃないの?

  5. 10

    今の渋野日向子にはゴルフを遮断し、クラブを持たない休息が必要です