「おいしい野菜が食べたい!」黒野伸一著
和也は、村の農産物直売所で働いていたが、大地主の松岡の機嫌を損ね、クビに。頼まれて春菜の畑で働き始める。春菜一家は、3年前に村に移住して有機栽培に取り組んできたが、去年夫が事故死。春菜は義母の世話をしながら、残された畑で1人で野菜を作っていた。しかし、夫との約束で無農薬・有機栽培を貫く彼女の畑は草だらけで、まともな野菜が育つとは思えない。
同じころ、派閥争いに巻き込まれ、村にある農業生産法人に左遷された理保子は、事業を黒字化して本社への復帰をもくろむ。
その切り札として、コンピューターで温室内の環境を自動調整する高生産性トマト栽培に取り組もうとするが……。
従来農法と、有機栽培、そして近代農業の三つ巴のバトルを描く長編。 (徳間書店 820円+税)