「希望の糸」東野圭吾著

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 静かな住宅街で喫茶店を営む女性経営者が殺された。捜査にあたった警視庁捜査1課の松宮脩平は、強盗でもない上に、誰からも恨まれた様子のない弥生が殺されたことに、不自然さを覚える。弥生には離婚歴はあったものの元夫との関係もこじれた様子はなく、誰も弥生を悪く言う人がいないのだ。

 そんな事件に首をひねる松宮のもとに、一本の電話がかかってきた。それは、ある金沢の料亭の女将が自分を探しているという話。不思議に思ってかけなおすと、死んだと聞かされていた自分の父親が、いま末期がんで死ぬ間際だという信じられない話だった……。

 親から子へと受け継がれていく血縁をテーマにした長編ミステリー。ある殺人事件に隠された謎と、刑事自身の出生の謎という2つの物語が並行して語られていく。地震で子どもを失い不妊治療の末に子どもを得た夫婦、子を授からなかったことでそれぞれが別々の道を歩むことを決めた夫婦、自身の息子の存在を遺言で残した父親らが絡み合いながら、事件の真相が見えてくる。

 人気の加賀恭一郎も少しだけ登場。シリーズのスピンオフ作品ともいえそうだ。

(講談社 1700円+税)

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