「沈黙のパレード」東野圭吾著

公開日: 更新日:

 町の食堂の看板娘だった19歳の女性が、ある日突然姿を消した。人目を引く容貌と群を抜いた歌の才能で地元の人気者だった彼女の失踪に、町中の人が心を痛めていたが、何の手掛かりもないまま3年間が経過した。

 そんな矢先、ある不審な火災現場でその娘が老婆と一緒に焼死体となって発見された。捜査線上に浮かんだのは、かつて少女殺しの容疑で身柄を拘束しながら自白を引き出せないまま無罪となった男。捜査にあたった草薙が危惧した通り、結局状況証拠しか見つからないまま、今回も再び証拠不十分で釈放されてしまった。さらに男は被害者家族の前に現れ、冤罪をかぶせられそうになった被害者だといって賠償金まで要求し始める。そんななか行われた町の秋祭りパレードの当日、男が原因不明の死を遂げたというニュースが飛び込んできた。果たして、この事件の真相とは……。

 物理学者・湯川学が天才的な推理力で事件の謎を解くガリレオシリーズの最新刊。今回も、米国帰りの湯川のもとに警視庁の草薙から難問が持ち込まれる。最後まで気を抜けない展開で、ガリレオファンは楽しめること必至。 (文藝春秋 1700円+税)

【連載】ベストセラー読みどころ

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    さすがチンピラ政党…維新「国保逃れ」脱法スキームが大炎上! 入手した“指南書”に書かれていること

  2. 2

    国民民主党の支持率ダダ下がりが止まらない…ついに野党第4党に転落、共産党にも抜かれそうな気配

  3. 3

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  4. 4

    来秋ドラ1候補の高校BIG3は「全員直メジャー」の可能性…日本プロ野球経由は“遠回り”の認識広がる

  5. 5

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  1. 6

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  2. 7

    小林薫&玉置浩二による唯一無二のハーモニー

  3. 8

    脆弱株価、利上げ報道で急落…これが高市経済無策への市場の反応だ

  4. 9

    「東京電力HD」はいまこそ仕掛けのタイミング 無配でも成長力が期待できる

  5. 10

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー