「むかしむかしあるところに、死体がありました。」青柳碧人著

公開日: 更新日:

 三条右大臣家の春姫が存生祭りの帰り道で鬼に襲われた。家来の一寸法師が針の刀を振り回したが、鬼につまみ上げられ、のみ込まれた。

 一寸法師は鬼の腹の中で針の刀を突き立てたため、鬼は降参して一寸法師を吐き出し、体を大きくしたり小さくしたりできる打ち出の小槌を置いて逃げていった。一寸法師はこの小槌を使って大きくなり、春姫の婿になることに。

 2日後、婚姻のうたげのときに、検非違使の手先と名乗る男がやってきた。上栗村で三条右大臣が庶民の女に産ませた冬吉という男が殺されたという。その家の戸は一寸ほどの隙間があった。だが、冬吉が死んだのは一寸法師が鬼の腹の中にいた時刻だ。(「一寸法師の不在証明」)

 このほか、「花咲か死者伝言」など5編の昔話ミステリー。

(双葉社 1300円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    カーリング女子フォルティウス快進撃の裏にロコ・ソラーレからの恩恵 ミラノ五輪世界最終予選5連勝

  2. 2

    南原清隆「ヒルナンデス」終了報道で心配される“失業危機”…内村光良との不仲説の真相は?

  3. 3

    契約最終年の阿部巨人に大重圧…至上命令のV奪回は「ミスターのために」、松井秀喜監督誕生が既成事実化

  4. 4

    「対外試合禁止期間」に見直しの声があっても、私は気に入っているんです

  5. 5

    高市政権「調整役」不在でお手上げ状態…国会会期末迫るも法案審議グダグダの異例展開

  1. 6

    円満か?反旗か? 巨人オコエ電撃退団の舞台裏

  2. 7

    不慮の事故で四肢が完全麻痺…BARBEE BOYSのKONTAが日刊ゲンダイに語っていた歌、家族、うつ病との闘病

  3. 8

    箱根駅伝3連覇へ私が「手応え十分」と言える理由…青学大駅伝部の走りに期待して下さい!

  4. 9

    「日中戦争」5割弱が賛成 共同通信世論調査に心底、仰天…タガが外れた国の命運

  5. 10

    近藤真彦「合宿所」の思い出&武勇伝披露がブーメラン! 性加害の巣窟だったのに…「いつか話す」もスルー