「ヒューマンエラーの心理学」一川誠著

公開日: 更新日:

 人間の知覚認知の仕組みを解説しながら、その過程で情報の処理や記憶などの誤りがなぜ起きるのかを解説したテキスト。

 人間の視覚は赤外光や紫外光に関連した外界の特性を見ることはできないが、チョウは羽の紫外光の反射率から雌雄を見分ける。このように知覚のセンサーが対応していない情報は得ることができず、どの生物種も環境中のさまざまな事柄から、自分の生存にとって意味のある情報を取り出しているのだ。

 こうした認知知覚の有限性をはじめとする認知を誤る理由を、人間と他の生物種の知覚認知機能を比較しながら解説。さらに合理的な判断を誤らせる直観や思い込み、記憶の錯誤など。人間の認知的な処理能力に制約や限界があることを説きながら、人間の知覚の本質を明らかにする。

(筑摩書房 860円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 2

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  3. 3

    FNS歌謡祭“アイドルフェス化”の是非…FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE登場も「特別感」はナゼなくなった?

  4. 4

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  5. 5

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  1. 6

    兵庫県・斎藤元彦知事らを待ち受ける検察審の壁…嫌疑不十分で不起訴も「一件落着」にはまだ早い

  2. 7

    カズレーザーは埼玉県立熊谷高校、二階堂ふみは都立八潮高校からそれぞれ同志社と慶応に進学

  3. 8

    日本の刑事裁判では被告人の尊厳が守られていない

  4. 9

    1試合で「勝利」と「セーブ」を同時達成 プロ野球でたった1度きり、永遠に破られない怪記録

  5. 10

    加速する「黒字リストラ」…早期・希望退職6年ぶり高水準、人手不足でも関係なし