「織田信忠――天下人の嫡男」和田裕弘著

公開日: 更新日:

 信長の後継者だった嫡男・信忠は、かつては家康の長男の信康より能力が劣り、信忠の世を安泰にするため、信長が信康に自害を命じたとされていた。しかし、近年の研究では信忠が決して凡庸な2代目ではなかったことが明らかになっている。

 天正5年、謀反を起こして信貴山城に籠城した松永久秀を、わずか10日ほどで攻略。翌年には5万以上の大軍を指揮して大坂本願寺を牽制。このとき、信忠は若干22歳だった。

 さらに天正10年の武田攻めで先鋒だった信忠は、信長の制止を振り切り快進撃を続け、武田氏を滅ぼす武功をあげた。信忠が本能寺の変に巻き込まれていなければ、歴史は大きく変わっていただろう。信長の陰に隠れて印象が薄い信忠の事績を丹念に追いかけ、その26年の生涯に光を当てた評伝。

(中央公論新社 860円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  2. 2

    高市政権の物価高対策はもう“手遅れ”…日銀「12月利上げ」でも円安・インフレ抑制は望み薄

  3. 3

    元日本代表主将DF吉田麻也に来季J1復帰の長崎移籍説!出場機会確保で2026年W杯参戦の青写真

  4. 4

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  5. 5

    京浜急行電鉄×京成電鉄 空港と都心を結ぶ鉄道会社を比較

  1. 6

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 7

    【時の過ぎゆくままに】がレコ大歌唱賞に選ばれなかった沢田研二の心境

  3. 8

    「おまえもついて来い」星野監督は左手首骨折の俺を日本シリーズに同行させてくれた

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾