「瓦礫から本を生む」土方正志著

公開日: 更新日:

 ライターとして各地の被災地を取材してきた著者は2000年、仙台を拠点に地域に根差した出版社を設立したが、11年後に自らも東日本大震災の被災者に。

 被災直後は廃業も頭をよぎるが、各地の書店や作家からの応援を受け、震災を語り続けるための仕事に取り組もうと決意。その苦闘の日々をつづった手記だ。

 被災直後、家族と社員、そしてアルバイトとともに避難先を求め山形へ。2週間後に見つかったアルバイト女性の父親の遺体に手を合わせながら、「本を出そう」と思ったという。

 自宅も事務所も失ったが、避難先から原稿を依頼、2カ月半後に「仙台学」最新刊の刊行にこぎ着ける。以後、5年間の記録と、出版人、そして一被災者としての日々の思いを明かす。

(河出書房新社 980円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    横浜とのFA交渉で引っ掛かった森祇晶監督の冷淡 落合博満さんは非通知着信で「探り」を入れてきた

  2. 2

    複雑なコードとリズムを世に広めた編曲 松任谷正隆の偉業

  3. 3

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  4. 4

    ドジャース内野手ベッツのWBC不参加は大谷翔平、佐々木朗希、山本由伸のレギュラーシーズンに追い風

  5. 5

    「年賀状じまい」宣言は失礼になる? SNS《正月早々、気分が悪い》の心理と伝え方の正解

  1. 6

    国宝級イケメンの松村北斗は転校した堀越高校から亜細亜大に進学 仕事と学業の両立をしっかり

  2. 7

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  3. 8

    維新のちょろまかし「国保逃れ」疑惑が早くも炎上急拡大! 地方議会でも糾弾や追及の動き

  4. 9

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  5. 10

    【京都府立鴨沂高校】という沢田研二の出身校の歩き方