「侍女の物語」 マーガレット・アトウッド著・斎藤英治訳

公開日: 更新日:

生殖管理

 ノーベル文学賞候補としてよく名前が挙がるカナダの作家が1985年に発表した作品。

 舞台は米国のキリスト教原理主義一派がクーデターで政権を奪取し、創建した全体主義国家、ギレアデ共和国。出生率の著しい低減に危機感を募らせた政府は、すべての女性から仕事と財産を没収。妊娠可能な女性たちを「侍女」としてエリート層の男性に派遣する。侍女たちは有用な「国家資源」として保護され、ひたすら出産の道具と化していく。侍女のオブフレッドの一人語りにより明らかになるのは、徹底されたメディア管理、人種・女性差別をはじめとするおぞましいまでの管理社会の姿だ。

 2017年にはTVドラマ化され、再び話題となっている。また昨年、30年ぶりに続編の「The Testaments」が発表された。こちらも楽しみ。

(早川書房 1200円+税)

【連載】名作でよむ破綻した近未来

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    全英V山下美夢有の「凱旋フィーバー」は望み薄…6年前の渋野日向子と決定的な違いとは?

  2. 2

    東洋大姫路(兵庫)岡田監督「大学からは『3年で』と言われたけど、ナンボ何でも無理ですと」

  3. 3

    中山美穂「香典トラブル」で図らずも露呈した「妹・忍」をめぐる“芸能界のドンの圧力”

  4. 4

    炎天の弔辞で高橋克典が読み上げた「芸能界のドン」秘話…ケイダッシュ川村会長告別式

  5. 5

    叡明(埼玉)中村監督「あくまで地元に特化したい。全国から選手を集めることは全く考えていません」

  1. 6

    中居正広氏に新事実報道!全否定した“性暴力”の中身…代理人弁護士は「出どころ不明」と一蹴

  2. 7

    突然告げられた強制米留学、現地では毎日ドミニカ人全員に飯を奢り続け、球団の領収書を切った

  3. 8

    長澤まさみの身長は本当に公称の「169センチ」か? 映画「海街diary」の写真で検証

  4. 9

    嫌というほど味わった練習地獄と主力との待遇格差…俺の初キャンプは毎日がサバイバルだった

  5. 10

    ドジャース「投手」大谷翔平がMLB最大落差の“魔球”を温存する狙い…リハビリでは「実戦でもっと試したい」と