「孫基禎 ─帝国日本の朝鮮人メダリスト」金誠著

公開日: 更新日:

 1936年のベルリン五輪のマラソンで金メダルを獲得した孫基禎(1912~2002年)の評伝。

 当時、日本は朝鮮半島を植民地にしており、孫をはじめ、朝鮮半島出身の7人が日本代表選手として五輪に出場していた。日本人は孫の勝利を心から喜び、世界の人々の誰もが日本代表選手の彼の優勝にそれ以上の何かがあるとは思っていなかった。しかし、朝鮮人にとって孫の勝利は、朝鮮民族の栄光だった。高まる民族意識の中、朝鮮の民族系新聞社が表彰台に立つ孫の写真を加工してユニホームの日の丸を消して掲載。警戒した当局によって孫は常に監視の対象にされてしまう。そんな彼の人生の光と影を描きながら、日本と朝鮮半島の複雑に絡み合った近現代史を見つめる。

(中央公論新社 800円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がもしFA3連敗ならクビが飛ぶのは誰? 赤っ恥かかされた山口オーナーと阿部監督の怒りの矛先

  2. 2

    大山悠輔が“巨人を蹴った”本当の理由…東京で新居探し説、阪神に抱くトラウマ、条件格差があっても残留のまさか

  3. 3

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  4. 4

    大山悠輔に続き石川柊太にも逃げられ…巨人がFA市場で嫌われる「まさかの理由」をFA当事者が明かす

  5. 5

    織田裕二がフジテレビと決別の衝撃…「踊る大捜査線」続編に出演せず、柳葉敏郎が単独主演

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    ヤクルト村上宗隆と巨人岡本和真 メジャーはどちらを高く評価する? 識者、米スカウトが占う「リアルな数字」

  3. 8

    どうなる?「トリガー条項」…ガソリン補助金で6兆円も投じながら5000億円の税収減に難色の意味不明

  4. 9

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  5. 10

    タイでマッサージ施術後の死亡者が相次ぐ…日本の整体やカイロプラクティック、リラクゼーションは大丈夫か?