「家族と自分を守る『安心な食品』の選び方」安部司著

公開日: 更新日:

 新型コロナウイルスの影響による“巣ごもり生活”で、調理の手間が省けるカップ麺やレトルトなどのインスタント食品を口にする機会が増えたという人も多いのではないか。しかし、これらの簡単・便利な食品には生活習慣病の元凶となる塩分や糖分、油分などがたっぷりと潜んでいる。

 コロナ対策で外出を自粛していても、食事で健康を害しては意味がない。本書では、不健康な食事を避けるために知っておきたい、食品の裏側を一挙公開。分かりにくい食品表示の読み解き方なども解説している。

 塩分や糖分と比べて、食べてみてもどれだけ入っているのか気づきにくいのがトランス脂肪酸だ。インスタント食品やスナック菓子、パンにドーナツにクッキーなどさまざまな食品に含まれており、心臓疾患や前立腺がん、アルツハイマー型認知症との関係も指摘されている。

 パッケージの原材料名を確認して避ければよいと思うかもしれないが、表示がまちまちで分かりにくいのが難点だ。原材料名に、食用精製加工油脂、植物油脂、ショートニング、マーガリン、ファットスプレッドなどの記載があれば、トランス脂肪酸が含まれていると疑った方がいい。

 また本書では、見落とされがちな香料についても警鐘を鳴らしている。2018年、アメリカでは動物実験でがんを引き起こすデータが示されたとして、合成香料6種に使用禁止措置を取っている。ところが日本では、このうちの5種がいまだに厚生労働省のお墨付きで使われ続けているという。

 巻末では伝統調味料を使った添加物なしのタレのレシピなども紹介。コロナとの共存時代、健康の基本である食をもう一度見直したい。

(祥伝社 1500円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦は大関昇進も“課題”クリアできず…「手で受けるだけ」の立ち合いに厳しい指摘

  2. 2

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  3. 3

    マエケン楽天入り最有力…“本命”だった巨人はフラれて万々歳? OB投手も「獲得失敗がプラスになる」

  4. 4

    中日FA柳に続きマエケンにも逃げられ…苦境の巨人にまさかの菅野智之“出戻り復帰”が浮上

  5. 5

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  1. 6

    高市政権の“軍拡シナリオ”に綻び…トランプ大統領との電話会談で露呈した「米国の本音」

  2. 7

    エジプト考古学者・吉村作治さんは5年間の車椅子生活を経て…80歳の現在も情熱を失わず

  3. 8

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  4. 9

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  5. 10

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ