「免疫力を上げる『健康残高』の増やし方」山田英嗣著

公開日: 更新日:

 毎年健康診断を受けることは病気の早期発見に役立つが、病気の予防には直結しない。そこで医師である著者は、病気にならない体づくりのために日々「健康残高」をためることを提唱。体に無理をさせない生活を送れば残高が増えて健康な体が長持ちするが、体に負担をかける生活を続けると少しずつ残高が減って健康を害してしまうというものだ。

 健康残高をためるにはどうしたらよいのか。例えば一日の始まりの朝、目を覚ますために毎日冷たい水で洗顔を行っているという人は、残念ながら健康残高マイナス1となる。冷たい水が手に触れると、両手の末梢血管が収縮して血液が流れにくくなる。すると、心臓は血液を循環させようと頑張って心拍を速くする。余計な負担をかけられた心臓には疲労が蓄積していき、心臓の寿命が削られていくというわけだ。逆に、真夏でもお湯を使っているという人は健康残高プラス1。心臓に楽をさせて機能を長持ちさせることにつながるだろう。

 水やお茶をたくさん飲みながら食事をする人は、健康残高マイナス1だ。胃の中の消化液が薄まると、通常よりも消化に時間がかかり、胃腸を余計に働かせることになってしまう。ランチ時など、忙しいからといって水で流し込むような早食いをする人はマイナス2である。

 1日に1回、カラオケやスポーツ観戦などで大声を出したり、大声で笑うように心がけている人は、健康残高プラス3となる。喉の筋力が鍛えられ、年を取ったときに高齢者の死亡原因に多い誤嚥性肺炎の予防につながっていくためだ。

 健康残高が分かれば、悪い習慣の修正もしやすくなる。病気を寄せ付けない体をつくるべく、健康残高をためる生活を送ろう。

(扶桑社 1200円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 2

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  3. 3

    前田健太は巨人入りが最有力か…古巣広島は早期撤退、「夫人の意向」と「本拠地の相性」がカギ

  4. 4

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  5. 5

    来春WBCは日本人メジャー選手壊滅危機…ダル出場絶望、大谷&山本は参加不透明で“スカスカ侍J”に現実味

  1. 6

    詞と曲の革命児が出会った岩崎宏美という奇跡の突然変異種

  2. 7

    高市政権にも「政治とカネ」大噴出…林総務相と城内経済財政相が“文春砲”被弾でもう立ち往生

  3. 8

    「もう野球やめたる!」…俺は高卒1年目の森野将彦に“泣かされた”

  4. 9

    連立与党の維新が迫られる“踏み絵”…企業・団体献金「規制強化」公明・国民案に立憲も協力

  5. 10

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋