「放っておくとこわい症状大全」秋津壽男著

公開日: 更新日:

 もう少し早く病気に気づいていれば、もっと簡単に治せたのに、命が助かったのに……。そんなことにならないために、絶対に見逃してはいけない体からの44のSOSサインを紹介する本書。

 総合内科専門医である著者自身、そのような事例を数多く目の当たりにしてきたという。例えば、最近疲れが取れないと受診してきた40代のサラリーマンは、まぶたをひっくり返してみたところ真っ白だった。これは明らかな貧血の症状だが、40代以降の男性に貧血症状がある場合、体内のどこかで出血を起こしている可能性が高い。詳細な検査をしてみると、初期の胃がんが発見されたそうだが、もしも「たかが疲れ」「たかが貧血」と放置していたら、手遅れになっていた可能性もあるのだ。

 以前と比べて頻尿になったが、トイレに行ってもあまり尿が出ない。このような症状の原因としては、膀胱がんも考えられる。膀胱に腫瘍ができてスペースが狭くなっているか、膀胱の壁に沿ってがんが広がり、膀胱が硬くなり伸びなくなっているケースがあるそうだ。トイレに行って、1度に10秒以上尿が出る場合は問題のない可能性が高いが、それが2、3秒で止まり何度も繰り返すようなら、膀胱がんを疑うべきと本書。

 妻のウエストにくびれがなくなり、貫禄たっぷりの腹になってきたとき、中年太りかと嘆く前に卵巣のう腫の心配をした方がよい。正常なら親指ほどの大きさしかない卵巣が、小玉スイカほどに膨れ上がっている可能性がある。卵巣のう腫の9割は良性だが、閉経後にがん化する恐れも指摘されているのだ。

 左肩の急激な痛みやまぶたが下がるなど、突然死の前触れのサインも解説。決して見逃してはいけない。

(ダイヤモンド社 1250円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 2

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  3. 3

    FNS歌謡祭“アイドルフェス化”の是非…FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE登場も「特別感」はナゼなくなった?

  4. 4

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  5. 5

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  1. 6

    兵庫県・斎藤元彦知事らを待ち受ける検察審の壁…嫌疑不十分で不起訴も「一件落着」にはまだ早い

  2. 7

    カズレーザーは埼玉県立熊谷高校、二階堂ふみは都立八潮高校からそれぞれ同志社と慶応に進学

  3. 8

    日本の刑事裁判では被告人の尊厳が守られていない

  4. 9

    1試合で「勝利」と「セーブ」を同時達成 プロ野球でたった1度きり、永遠に破られない怪記録

  5. 10

    加速する「黒字リストラ」…早期・希望退職6年ぶり高水準、人手不足でも関係なし