「47都道府県の底力がわかる事典」葉上太郎著
安倍政権の目玉政策のひとつ「地方創生」が失敗に終わったのは、各地域の物語に耳を傾けなかったからだと著者は指摘する。地方消滅の危機と言われるが、どんな地域にも物語があり、これを探り、気づき、どう生かしていくか、それができるかどうかで地域の運命は決まる。そうした知恵と工夫、努力、挑戦がある限り、人が住む地域は滅びるものではない。
財政破綻した夕張市で、後に国の天然記念物に指定される夕張岳と高山植物群を開発計画から守った女性たちの運動、赤字経営が続く生活路線に観光列車を走らせ活路を見いだした岐阜県の長良川鉄道、そして伝統芸能のエイサーが若者を地域に引き留める沖縄県の沖縄市など。
北から南まで、全国各地の地域再生の物語を紹介するリポート。
(文藝春秋 1320円)