【ニッポン移民時代】在日コリアンは果たして「外国人」なのか

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「日本社会と外国人」朴沙羅著

 少子高齢化への対応としては移民政策が最も効果的といわれるが、社会には排外的な風潮も広がる。



「日本社会と外国人」朴沙羅著

 日本に住む外国人は一昨年末の時点でおよそ376万9000人。前年末と比べると10.5%の増加だ。その一方、日本全体で外国人登録されている人口はわずか3%。その中には既に日本で100年近くも住んで代を重ねてきた人たちもいる。特に在日コリアンは果たして「外国人」なのか。

 こう問いかける著者は京大准教授の社会学者。前任のヘルシンキ大学での講師時代に書いたエッセー集「ヘルシンキ 生活の練習」(筑摩書房 1980円)では、国で出会う異文化の経験と在日コリアンとしての視点と2人の子を持つ母親としての思いをユーモラスにつづっていたが、本書はあくまでアカデミックにナショナリズム研究を専門とする社会学者としての問題意識を掲げる。

 日本社会が現在まで続く出入国管理制度を整え始めたのは第2次大戦後のGHQによる占領時代。冷戦体制の始まりを背景に朝鮮から逃れて日本に渡航した人々を「不法入国」とした当時の制度がそのまま温存されたのだ。

 本書はヘルシンキ大学文学部で担当した日本社会論の内容だそうだが、現地で学生から出た質問が日本ではまったく出なかったものだというエピソードが印象的。日本社会で当たり前と思っていることは外国から見ると不思議な話なのだ。 (中央公論新社 1320円)


「移民1000万人時代」毛受敏浩著

「移民1000万人時代」毛受敏浩著

 少子化による人口減少は明らかな日本。昨年だけで94万人が減り、10年後には1000万人が消えるという。逆に外国人は既に395万人。2040年までに1000万人になると予測される。著者は兵庫県庁のあと国際交流の仕事で政府の委員なども務めた。技能実習制度をはじめ日本の対応が遅れているのは周知。しかし「日本語教育推進法」は政府が学習機会を提供することを定め、共生社会の実現をうたっているところが画期的という。

 移民の受け入れについては「受け入れないリスク」を考えるべきと著者は指摘する。受け入れは定住を意味する。しかし短期の出稼ぎだけを求めるなら人手不足も人口減少も解消しない。さらに社会が拒む姿勢を見せるほど犯罪のリスクが高まる。逆に移民を消費者ととらえれば経済の循環には大いに貢献する。本書は、類書に比して具体的な政策論が多いのが特長だ。移民を受け入れたあと、外国ルーツを持つ青少年世代をどう教育していくかも課題。来日時の年齢によってもその後の社会適応のレベルや状況が変わる。こうした小さな問題への対処の積み重ねが「異文化」受容のためには欠かせないのだ。 (朝日新聞出版 1045円)

「多様性とどう向き合うか」岩渕功一著

「多様性とどう向き合うか」岩渕功一著

 多様性促進を唱える声が高まってからすでに長い。ダイバーシティーとカタカナで書くことも珍しくない。しかし著者は「多様性という言葉に違和感を抱いてきました」という。

「多様性の何がどう重要だというのでしょう。私たちが住む社会はいつでも多様性に満ちているのに、なぜ今更多様性が大事だと言わないといけないのでしょうか。何が目指されているのでしょうか」

 こう訴える著者はオーストラリアのシドニー工科大名誉客員教授。オーストラリアは多文化主義を早くから取り入れた国のひとつだが、自国ファーストの世界的風潮が強まるにつれて多文化主義に消極的な政権も誕生した。すると日常生活でも「反移民の動きやエスニックマイノリティーへの偏見が顕在化する」のを実体験したという。

 著者は、多様性について「真剣に考えてもいないのに、いろいろな差異を持つ人たちを尊重して受け入れるべきという考えにはとりあえず従っておこう」というような風潮の存在を指摘し、そういう違和感も見過ごしてはならないという。「他者の生きづらさを自分ごととする」ことを日本社会は共有できるだろうか。 (岩波書店 990円)

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