「ただいまつもとの事件簿」新津きよみ著
真紀は、仕事を辞め、夫の転勤先の松本に移住した。しかし、仕事も友達も見つからず、移住希望者向けの説明会に参加してみる。東京で行方不明になり松本で見つかった猫が移住のきっかけだったという夫婦など、登壇した3組の移住者の話は、興味深いが参考にはならなかった。
帰り道、四柱神社に参拝した真紀は、直子という年配女性から声をかけられる。直子も移住者で、一緒に移住するはずだった夫は亡くなったが、松本に移り住んだのは、8年前に北アルプスで遭難した長男の敬一がまだ見つかっていないからだという。
数日後、敬一が見つかったと聞き、真紀は直子の自宅を訪ねるが、紹介された男は、どう見ても敬一の年齢よりも若かった。
ミステリーと旅気分が味わえるご当地小説。
(光文社 704円)