「会って、話すこと。」田中泰延著

公開日: 更新日:

「何をどう話せばいいか?」など、会話について悩んだことのある人はいるだろう。しかし、これまでさまざまな人と対談をしてきた著者はその経験から、多くの場合、「他人はあなたに興味がなく、実はあなたも他人に興味ない」という。だから会話では自分のことは話さず、相手のことも聞き出さなくてよい。

 では、何を話すかというと、「外部のこと」である。政治の問題や世界経済を話題にすると会話でなく議論になってしまうので、共感が得られるもの、たとえばその日の天気などにする。そして、「入道雲というのはね……」などちょっとした雑学を付け足せば会話のとっかかりは出来上がり。つまり会話を支えるのは「知識」なのだ。

 また会話を盛り上げようと「ツッコミ」をする人がいるが、これは不要。ツッコミはマウンティングに他ならず、また「超ウケる~」など褒め言葉も、審査員目線で感じが悪い。逆に、誰かが「ボケ」たらボケを重ねていく。ボケとは仮説であり、仮説に仮説を重ねることにこそ会話の楽しさがあり、「連歌」にも通じる遊びの本質であると説く。

 人はなぜ会って話すことを欲するのかを考察しながら、「会話は距離の取り方が大事」「機嫌よく生きることの大切さ」などシンプルな会話術をつづる。

(ダイヤモンド社 1650円)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高市首相が招いた「対中損失」に終わり見えず…インバウンド消費1.8兆円減だけでは済まされない

  2. 2

    実は失言じゃなかった? 「おじいさんにトドメ」発言のtimelesz篠塚大輝に集まった意外な賛辞

  3. 3

    現行保険証の「来年3月まで使用延長」がマイナ混乱に拍車…周知不足の怠慢行政

  4. 4

    長女Cocomi"突然の結婚宣言"で…木村拓哉と工藤静香の夫婦関係がギクシャクし始めた

  5. 5

    「NHKから国民を守る党」崩壊秒読み…立花孝志党首は服役の公算大、斉藤副党首の唐突離党がダメ押し

  1. 6

    国民民主党でくすぶる「パワハラ問題」めぐり玉木雄一郎代表がブチ切れ! 定例会見での一部始終

  2. 7

    ドジャース大谷翔平が目指すは「来季60本15勝」…オフの肉体改造へスタジアム施設をフル活用

  3. 8

    男子バレー小川智大と熱愛報道のCocomi ハイキューファンから《オタクの最高峰》と羨望の眼差し

  4. 9

    長女Cocomiに熱愛発覚…父キムタクがさらに抱える2つの「ちょ、待てよ」リスク

  5. 10

    【武道館】で開催されたザ・タイガース解散コンサートを見に来た加橋かつみ