「ワールド・トレイルズUSA トレイルアメリカの道を歩く」ゲシュタルテン編

公開日: 更新日:

 国際ニュースばかりに目を奪われていると忘れがちだが、世界3位の広さの国土を有するアメリカは、大自然の宝庫でもある。その自然は、原生林に覆われた森から、まるで他の惑星を思わせる荒野までバラエティーに富んでいる。

 そんな雄大な自然のなかを、時にテントを担いで何日もかけて歩く道があちらこちらに整備され、世界中のハイカーを魅了している。

 本書は、アメリカ各地に無数とあるトレイルから選りすぐりを案内してくれる豪華ガイドブック。

 アメリカの全自然保護区域の3分の1という途方もない広さのロッキー山脈の一角、ウィンド・リバー山脈は最高の穴場のひとつ。「ウィンド・リバー・ハイ・ルート」は同山脈に数あるトレッキングコースの中でも最高のルートだという。

 全長は129キロ、ベテランハイカーの足で6~7日のコースは、標高3505~3719メートルの9つの峠を通り、総獲得標高6096メートルにもなるまるでジェットコースターのようなルート。ヒグマやムースなど野生動物たちの暮らす大自然のなかを崖錐の斜面や氷河、花崗岩盤、そして雪原など、ときに道なき道を進む。

 9月に訪れると、発情期を迎えたオスのエルクがメスを求めてあげる「バグリング」と呼ばれる独特の鳴き声が迎えてくれるそうだ。

 そんなハードなコースを歩き通す自信がないという方には、同じくロッキー山脈の一部、サングレ・デ・クリスト山脈の麓にあるグレート・サンド・デューンズ国立公園・保護区(コロラド州)がおすすめ。

 同公園内の「スター・デューン・ループ」と呼ばれるコースは、およそ10キロ、5時間のコースだが、エキゾチックでおもしろいそうだ。

 山頂を雪で覆われた山々を遠くに眺めながら、北米でもっとも標高が高い砂丘を横断、頂上からの360度のパノラマは息をのむほどの絶景だという。

 おまけにコースには雪解け水が作り出す水域もあり、暖かい季節には、砂丘を楽しんだ後に急流下りも楽しめるという何ともぜいたくなコースなのだ。

 他にも、ミネソタ州にある世界最大面積の淡水湖スペリオル湖の北側湖畔を歩く「スペリオル・ハイキング・トレイル」(499キロ)、見渡す限り命の気配が全くない幻想的な岩石層が広がるサウスダコタ州バッドランズ国立公園内の「セージ・クリーク・ループ」(36キロ)など、30トレイルを美しい写真で紹介。さらに、高名なプロハイカーのカム・ホーナン氏が、各トレイルの見どころや歴史などを解説するとともに必携品などもアドバイスしてくれる。

 中には、全長が3州にまたがる4281キロ、所要日数が5カ月という「パシフィック・クレスト・トレイル」など、とてつもないスケールのトレイルもあり、アメリカの大きさを改めて知る。

 気軽に海外旅行の計画を立てられない時代になってしまったが、写真を眺めながら各トレイルを歩く妄想に浸っているだけでも、心が洗われる。

 (グラフィック社 3190円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「豊臣兄弟!」白石聖が大好評! 2026年の毎週日曜日は永野芽郁にとって“憂鬱の日”に

  2. 2

    川口春奈「食べ方が汚い」問題再燃のお気の毒…直近の動画では少しはマシに?

  3. 3

    あの人「なんか怖い」を回避する柔らかな言葉遣い

  4. 4

    自分探しで“変身”遂げたマリエに報道陣「誰だかわからない」

  5. 5

    (1)高齢者の転倒は要介護のきっかけになりやすい

  1. 6

    2度目の離婚に踏み切った吉川ひなの壮絶半生…最初の夫IZAMとは"ままごと婚"と揶揄され「宗教2世」も告白

  2. 7

    「誰が殺されてもおかしくない」ICE射殺事件への抗議デモ全米で勃発

  3. 8

    解散総選挙“前哨戦”で自民に暗雲…前橋出直し市長選で支援候補が前職小川晶氏に「ゼロ打ち」大敗の衝撃

  4. 9

    業績悪化で減収減益のニトリ 事業の新たな柱いまだ見いだせず

  5. 10

    チンピラ維新の「国保逃れ」炎上やまず“ウヤムヤ作戦”も頓挫不可避 野党が追及へ手ぐすねで包囲網