著者のコラム一覧
柚月裕子

1968年、岩手県生まれ。2008年「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、デビュー。2013年「検事の本懐」で第15回大藪春彦賞、2016年に「孤狼の血」で第69回日本推理作家協会賞受賞。著書に「慈雨」「盤上の向日葵」など多数。

第一話 倫理的にあり得ない(14)視界に映るビルの合間の狭い夜空

公開日: 更新日:
イラスト・大野博美

 やがて出崎は、男の呼び名を思い出した。

「そうだ、ユウジだ」

 一度だけ、ふたりが出崎の近くに座ったことがある。飲み物を買うために席を立った男を、女はユウジと呼び止めた。昔、流行った刑事ドラマの登場人物と同じで、懐かしく思ったことを覚えている。

「男に関して知… 

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