「離島を楽しむ五島列島」後藤暢子著

公開日: 更新日:

 朝の連続テレビ小説「舞いあがれ!」の舞台、長崎県の五島列島の魅力を紹介するビジュアルガイドブック。

 もともと「五島」とは、北から中通島・若松島(新上五島町)、奈留島・久賀島・福江島(五島市)の総称だったようだが、現在は中通島のさらに北に位置する小値賀島・野崎島・宇久島が加わり、「五島列島」と称されるようになったという。

 古くから海洋交通の要で、どの島も火山帯で形成された肥沃な土地で農作物の耕作に不便はなく、もちろん海の幸も豊富で、独自の文化が脈々と受け継がれてきた。

 最南端に位置する福江島は都市的機能を備え、近年では移住者が増え、人口が増加傾向に転じて話題になった島だ。

 福江島の三井楽は、遣唐使船南路の最終寄港地であり、船が流されないよう綱でつないだ「ともづな石」が今も残る。

 さらに遣唐使の帰り道に島に滞在した空海が初めて真言密教の講釈を行い「西の高野山」とも呼ばれる「大宝寺」をはじめ、「大瀬埼灯台」や、島のシンボル火山「鬼岳」などがある福江島をはじめ、各島の見どころスポットを案内。

 一方で、福江島から船で20分で馬のヒヅメのような形をした久賀島にある世界遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産の一つ「旧五輪教会堂」の若き教会守・永松翼さんや、近年全国的に有名になっている当地の「あご出汁(だし)」に使われる「あご」(小さなトビウオ)の文化をつなぐために伝統的な製法を守り続ける中通島の畑下直さんら、それぞれの島の「人」に注目したコーナーなど、さまざまな視点から五島列島の楽しみ方を伝える。

 はるか遠くと思っていた五島列島が身近に感じられ、手にしたら絶対に行きたくなるに違いない。

(辰巳出版 1650円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    世良公則氏やラサール石井氏らが“古希目前”で参院選出馬のナゼ…カネと名誉よりも大きな「ある理由」

  2. 2

    国分太一が社長「TOKIO-BA」に和牛巨額詐欺事件の跡地疑惑…東京ドーム2個分で廃墟化危機

  3. 3

    浜田省吾が吉田拓郎のバックバンド時代にやらかしたシンバル転倒事件

  4. 4

    “お荷物”佐々木朗希のマイナー落ちはド軍にとっても“好都合”の理由とは?

  5. 5

    「いま本当にすごい子役」2位 小林麻央×市川団十郎白猿の愛娘・堀越麗禾“本格女優”のポテンシャル

  1. 6

    幼稚舎ではなく中等部から慶応に入った芦田愛菜の賢すぎる選択…「マルモ」で多忙だった小学生時代

  2. 7

    「徹子の部屋」「オールナイトニッポン」に出演…三笠宮家の彬子女王が皇室史を変えたワケ

  3. 8

    TOKIO解散劇のウラでリーダー城島茂の「キナ臭い話」に再注目も真相は闇の中へ…

  4. 9

    新横綱・大の里の筆頭対抗馬は“あの力士”…過去戦績は6勝2敗、幕内の土俵で唯一勝ち越し

  5. 10

    フジテレビ系「不思議体験ファイル」で7月5日大災難説“あおり過ぎ”で視聴者から苦情殺到