「ルポ 虐待サバイバー」植原亮太著

公開日: 更新日:

精神保健福祉士として生活保護業務に携わってきた著者によると、保護を受けている人には、虐待を受けてきた人が多く、その心の傷が自立を阻んでいるという。被虐待者の声に耳を傾け、虐待問題の真の解決への糸口を探るルポルタージュ。

 実例を挙げながら、行政による対応の多くが、虐待を受けてきた人のことを想定していないと指摘。さらに、あらゆる虐待を受けて解離性障害となった女性の例などを挙げ、精神科医療でさえ彼らの内実に添った治療がなされているとは言い難い現実を明らかにする。

 一方で、親子間で起きた問題は愛着関係がより豊かに促進されることで解決されると思い込んでしまっている「支援者側の心理的問題」にも触れながら、被虐待者たちにとって真の回復とは何かを考える。 (集英社 1045円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    侍ジャパンに日韓戦への出場辞退相次ぐワケ…「今後さらに増える」の見立てまで

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  4. 4

    “新コメ大臣”鈴木憲和農相が早くも大炎上! 37万トン減産決定で生産者と消費者の分断加速

  5. 5

    侍J井端監督が仕掛ける巨人・岡本和真への「恩の取り立て」…メジャー組でも“代表選出”の深謀遠慮

  1. 6

    巨人が助っ人左腕ケイ争奪戦に殴り込み…メジャー含む“四つ巴”のマネーゲーム勃発へ

  2. 7

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  3. 8

    支持率8割超でも選挙に勝てない「高市バブル」の落とし穴…保守王国の首長選で大差ボロ負けの異常事態

  4. 9

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 10

    和田アキ子が明かした「57年間給料制」の内訳と若手タレントたちが仰天した“特別待遇”列伝