「ルポ 虐待サバイバー」植原亮太著

公開日: 更新日:

精神保健福祉士として生活保護業務に携わってきた著者によると、保護を受けている人には、虐待を受けてきた人が多く、その心の傷が自立を阻んでいるという。被虐待者の声に耳を傾け、虐待問題の真の解決への糸口を探るルポルタージュ。

 実例を挙げながら、行政による対応の多くが、虐待を受けてきた人のことを想定していないと指摘。さらに、あらゆる虐待を受けて解離性障害となった女性の例などを挙げ、精神科医療でさえ彼らの内実に添った治療がなされているとは言い難い現実を明らかにする。

 一方で、親子間で起きた問題は愛着関係がより豊かに促進されることで解決されると思い込んでしまっている「支援者側の心理的問題」にも触れながら、被虐待者たちにとって真の回復とは何かを考える。 (集英社 1045円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    農水省「おこめ券」説明会のトンデモ全容 所管外の問い合わせに官僚疲弊、鈴木農相は逃げの一手

  2. 2

    早瀬ノエルに鎮西寿々歌が相次ぎダウン…FRUITS ZIPPERも迎えてしまった超多忙アイドルの“通過儀礼”

  3. 3

    2025年ドラマベスト3 「人生の時間」の使い方を問いかけるこの3作

  4. 4

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  5. 5

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  1. 6

    大炎上中の維新「国保逃れ」を猪瀬直樹議員まさかの“絶賛” 政界関係者が激怒!

  2. 7

    池松壮亮&河合優実「業界一多忙カップル」ついにゴールインへ…交際発覚から2年半で“唯一の不安”も払拭か

  3. 8

    維新の「終わりの始まり」…自民批判できず党勢拡大も困難で薄れる存在意義 吉村&藤田の二頭政治いつまで?

  4. 9

    日本相撲協会・八角理事長に聞く 貴景勝はなぜ横綱になれない? 貴乃花の元弟子だから?

  5. 10

    SKY-HI「未成年アイドルを深夜に呼び出し」報道の波紋 “芸能界を健全に”の崇高理念が完全ブーメラン