「〈叱る依存〉がとまらない」村中直人著

公開日: 更新日:

「叱る」という行為には依存性がある。どんな人でも環境さえ整えば〈叱る依存〉の落とし穴にはまる可能性がある。「叱る」ことで「自己効力感」という報酬を受け取ることになるからだ。〈叱る依存〉の先には相手に苦痛や恐怖を与える「虐待」がある。叱られることに「馴化」すると、叱られる側は反応が鈍くなるので、「叱る」行為はエスカレートする。

「叱る」を手放すためには、まず、「人は、苦しまなければ、変化・成長できない」という苦痛神話から脱却することが必要だ。苦しみが成長につながるのは、他者から与えられるのではなく、本人が主体的、自律的に苦しみを乗り越える時なのだ。叱る時に重要なのは「上手に叱り終わる」こと。叱るのは危機的な状況への対応に限定することが望ましい。

 子どもや部下を〈叱る〉自分を見つめ直すための処方箋。

(紀伊國屋書店 1760円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    映画「国宝」ブームに水を差す歌舞伎界の醜聞…人間国宝の孫が“極秘妻”に凄絶DV

  2. 2

    「時代と寝た男」加納典明(22)撮影した女性500人のうち450人と関係を持ったのは本当ですか?「それは…」

  3. 3

    輸入米3万トン前倒し入札にコメ農家から悲鳴…新米の時期とモロかぶり米価下落の恐れ

  4. 4

    くら寿司への迷惑行為 16歳少年の“悪ふざけ”が招くとてつもない代償

  5. 5

    “やらかし俳優”吉沢亮にはやはりプロの底力あり 映画「国宝」の演技一発で挽回

  1. 6

    参院選で公明党候補“全員落選”危機の衝撃!「公明新聞」異例すぎる選挙分析の読み解き方

  2. 7

    「愛子天皇待望論」を引き出す内親王のカリスマ性…皇室史に詳しい宗教学者・島田裕巳氏が分析

  3. 8

    TOKIO解散劇のウラでリーダー城島茂の「キナ臭い話」に再注目も真相は闇の中へ…

  4. 9

    松岡&城島の謝罪で乗り切り? 国分太一コンプラ違反「説明責任」放棄と「核心に触れない」メディアを識者バッサリ

  5. 10

    慶大医学部を辞退して東大理Ⅰに進んだ菊川怜の受け身な半生…高校は国内最難関の桜蔭卒