「〈叱る依存〉がとまらない」村中直人著

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「叱る」という行為には依存性がある。どんな人でも環境さえ整えば〈叱る依存〉の落とし穴にはまる可能性がある。「叱る」ことで「自己効力感」という報酬を受け取ることになるからだ。〈叱る依存〉の先には相手に苦痛や恐怖を与える「虐待」がある。叱られることに「馴化」すると、叱られる側は反応が鈍くなるので、「叱る」行為はエスカレートする。

「叱る」を手放すためには、まず、「人は、苦しまなければ、変化・成長できない」という苦痛神話から脱却することが必要だ。苦しみが成長につながるのは、他者から与えられるのではなく、本人が主体的、自律的に苦しみを乗り越える時なのだ。叱る時に重要なのは「上手に叱り終わる」こと。叱るのは危機的な状況への対応に限定することが望ましい。

 子どもや部下を〈叱る〉自分を見つめ直すための処方箋。

(紀伊國屋書店 1760円)

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