「『鬱屈』の時代をよむ」今野真二著

公開日: 更新日:

 感染症や戦争、災害などに遭遇したとき、人は平静ではいられない。さまざまな感情や気持ちになる。自身の気持ち、感情と向き合い、他者の気持ち、感情と向き合い、生きていかなければならない。

 こうした不安や憂鬱、鬱屈した気持ちや感情は、これまでどのように言語化されてきたのかを小説や詩などを引用しながら読み解いたテキスト。

 本来、不定形な「気持ち・感情・感覚」に言語でかたちを与えるのが言語化だ。それにより自分の気持ちを納得するのだ。

 関東大震災や、スペイン風邪、第1次世界大戦などをくぐりぬけた大正時代の言語空間に着目。夏目漱石や太宰治、芥川龍之介、萩原朔太郎などの作品をはじめ、雑誌や辞書まで膨大な資料から先人たちは「鬱屈」をどう表現したかを分析し、現代人が抱える「不安感」を解くカギを探す。 (集英社 1155円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    朝ドラ「あんぱん」教官役の瀧内公美には脱ぎまくった過去…今クールドラマ出演者たちのプチ情報

  2. 2

    中井貴一の“困り芸”は匠の技だが…「続・続・最後から二番目の恋」ファンが唱える《微妙な違和感》の正体

  3. 3

    大阪万博会場の孤島「夢洲」で水のトラブル続出の必然…トイレ故障も虫大量発生も原因は同じ

  4. 4

    渋谷区と世田谷区がマイナ保険証と資格確認書の「2枚持ち」認める…自治体の謀反がいよいよ始まった

  5. 5

    Kōki,主演「女神降臨」大爆死で木村拓哉がついに"登場"も リベンジ作品候補は「教場」か「マスカレード」シリーズか

  1. 6

    森友文書の一部欠落で財務省が回答…公表された概要リストに「安倍昭恵」の名前

  2. 7

    巨人阿部監督がオンカジ送検の増田大輝を「禊降格」しないワケ…《中心でなくても、いないと困る選手》

  3. 8

    早実初等部を凌駕する慶応幼稚舎の人脈網…パワーカップルを惹きつけるもう一つの理由

  4. 9

    オンカジ騒動 巨人オコエ瑠偉が「バクダン」投下!《楽天の先輩》実名公表に現実味

  5. 10

    迷走続く「マレリ・ホールディングス」再建…金融界の最大の懸念は日産との共倒れ