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「ルポ 国際ロマンス詐欺」水谷竹秀著

 戦争と犯罪は人間社会につきものといわれる。SNS時代の今日、犯罪は新たな顔でアナタの身近にぽっかりと闇の入り口を開いている。



「ルポ 国際ロマンス詐欺」水谷竹秀著

 結婚詐欺は昔からあるが、国際的となると純日本人が2世に化けた“クヒオ大佐”ぐらいのものだった。ところがSNSの時代になると手口もまさにグローバル。SNSを通じて知り合った相手をことば巧みに操る詐欺師の実態を探ったら、なんと発信者はアフリカのナイジェリアにいた!

 敏腕ルポライターの著者は詐欺の手口と被害者を取材し、会ったこともない相手に高額の金を銀行振り込みするのはなぜかに迫る。が、出てくる理由は「嫌われたくなかった」など月並みなもの。そこで矛先を転じ、フェイスブックで知り合った詐欺師側に接触。発信元をアフリカと特定した上で、地元の大学教授の知人の協力を得て現地入りする。やがて現れたのは失業率の高いナイジェリアで失職中の若者たち。詐欺の釣り文句はパターン化され、マッチングアプリで知り合った相手への気遣いのことばや「アイ・ラブ・ユー」のメッセージから架空の投資口座への誘導まで、すべてが用意されたデフォルトのものをコピペするだけ。そんな単純な手口でも被害者は後を絶たず。

 搾取した金が貧困のアフリカに吸い込まれてゆく実態まで迫った力作ルポだ。 (小学館 1100円)

「闇バイト」廣末登著

「闇バイト」廣末登著

 いま大学で話題になっているのが闇バイト。大学に入学して1人暮らしを始めたばかりの若者などがコロナ禍でバイト先を失い、手を染める。SNSなどで「その場で5万円。あとくされなし」などの釣り文句に引かれ、オレオレ詐欺の受け子になるが、日ならずして警察に逮捕され、人生は暗転する……というのがこれまでのパターン。

 しかし、今年春に世間を騒がせた「ルフィ」事件など、首謀者は海外にいて実行犯が独居老人の家を急襲するという手口。まさに「凶悪化する若者のリアル」(副題)なのだ。

 著者は福岡出身の犯罪社会学者。これまでも「ヤクザになる理由」など裏社会の実態を追う著書が多数ある。本書では闇バイトの実例を紹介するだけでなく、犯罪者に使い捨てにされる若者たちの成育環境にも迫り、複雑な生い立ちと虐待で居場所のない現代の暗部をも明らかにしている。 (祥伝社 1023円)

「カスハラの犯罪心理学」桐生正幸著

「カスハラの犯罪心理学」桐生正幸著

「カスハラ」と聞いて「カスタマーハラスメント」ととっさに理解できる人はどのぐらいいるだろうか。

「お客さまは神様です」はニッポンの営業職や小売業・飲食店の金科玉条だが、近年はそれにあぐらをかいてモンスター化する消費者が後を絶たない。

 本書の著者は山形県警の科捜研で犯罪プロファイリングにたずさわり、いまは東洋大で教壇に立つ社会心理学者。カスハラは犯罪ではないという認識を著者は否定し、「法律で犯罪と認定されているか否か」の違いしかないという。要はゆがんだ心理の主による威圧行動は、社会的には犯罪とみなしてもよいほどなのだ。ただし著者によればカスハラに走るのは「普通の人」が圧倒的に多い。その動機を著者は「合理的選択理論」や「ルーティン・アクティビティ理論」で説明する。カスハラの主は異常者というわけではなく、普遍的な存在だから逆に問題なのだ。 (集英社インターナショナル 979円)

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