「弾左衛門と車善七」塩見鮮一郎著

公開日: 更新日:

「弾左衛門と車善七」塩見鮮一郎著

 弾左衛門とは、人名であり、明治維新で廃された江戸時代の職名でもあるという。町奉行の手伝いで、警備・牢番・処刑などの御用を務める被差別民の集団の棟梁が、代々、その名を名乗ったそうだ。

 その前史は馬牛に関するプロの集団と思われ、彼らを組織することを考えた平清盛が弾左衛門に「こじき」一般を管理させた。頼朝もそれを受け継ぎ、鎌倉極楽寺門前に土地を与えた。

 このシステムを家康も採用し、弾左衛門に穢多身分を支配させ、八百八町の各町内の安全と清掃の役を課した。それは貧民救済の制度でもあったという。そして弾左衛門の配下で、乞食、くず拾い、牢屋人足を管理したのが非人頭の車善七だったという。

 ふたつの集団の成り立ちと歴史を追いながら、江戸時代の被差別民の実態を描く歴史テキスト。 (河出書房新社 1320円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    今オフ日本史上最多5人がメジャー挑戦!阪神才木は“藤川監督が後押し”、西武Wエースにヤクルト村上、巨人岡本まで

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希にリリーバーとしての“重大欠陥”…大谷とは真逆の「自己チューぶり」が焦点に

  3. 3

    日本ハム最年長レジェンド宮西尚生も“完オチ”…ますます破壊力増す「新庄のDM」

  4. 4

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  5. 5

    初の黒人力士だった戦闘竜さんは難病で入院中…「治療で毎月30万円。助けてください」

  1. 6

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  2. 7

    ドジャース佐々木朗希もようやく危機感…ロッテ時代の逃げ癖、図々しさは通用しないと身に染みた?

  3. 8

    ドジャース大谷翔平が“本塁打王を捨てた”本当の理由...トップに2本差でも欠場のまさか

  4. 9

    “条件”以上にFA選手の心を動かす日本ハムの「圧倒的プレゼン力」 福谷浩司を獲得で3年連続FA補強成功

  5. 10

    吉沢亮は業界人の評判はいいが…足りないものは何か?