「弾左衛門と車善七」塩見鮮一郎著

公開日: 更新日:

「弾左衛門と車善七」塩見鮮一郎著

 弾左衛門とは、人名であり、明治維新で廃された江戸時代の職名でもあるという。町奉行の手伝いで、警備・牢番・処刑などの御用を務める被差別民の集団の棟梁が、代々、その名を名乗ったそうだ。

 その前史は馬牛に関するプロの集団と思われ、彼らを組織することを考えた平清盛が弾左衛門に「こじき」一般を管理させた。頼朝もそれを受け継ぎ、鎌倉極楽寺門前に土地を与えた。

 このシステムを家康も採用し、弾左衛門に穢多身分を支配させ、八百八町の各町内の安全と清掃の役を課した。それは貧民救済の制度でもあったという。そして弾左衛門の配下で、乞食、くず拾い、牢屋人足を管理したのが非人頭の車善七だったという。

 ふたつの集団の成り立ちと歴史を追いながら、江戸時代の被差別民の実態を描く歴史テキスト。 (河出書房新社 1320円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 2

    夏の京都に異変! 訪日客でオーバーツーリズムのはずが…高級ホテルが低調なワケ

  3. 3

    中日ポスト立浪は「侍J井端監督vs井上二軍監督」の一騎打ち…周囲の評価は五分五分か

  4. 4

    不倫報道の福原愛 緩さとモテぶりは現役時から評判だった

  5. 5

    ヒロド歩美アナ「報ステ」起用で波紋…テレ朝とABCテレビの間に吹き始めた“すきま風”

  1. 6

    中日立浪監督「ビリ回避なら続投説」は本当か…3年連続“安定の低迷”でも観客動員は絶好調

  2. 7

    阪神岡田監督の焦りを盟友・掛布雅之氏がズバリ指摘…状態上がらぬ佐藤輝、大山、ゲラを呼び戻し

  3. 8

    夏休み到来! 我が子をテレビやゲーム、YouTube漬けにしない「割と簡単にできる方法」

  4. 9

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  5. 10

    新庄監督は日本ハムCS進出、続投要請でも「続投拒否」か…就任時に公言していた“未来予想図”