「瞽女さと温泉」国見修二著

公開日: 更新日:

「瞽女さと温泉」国見修二著

 小林ハルさんは越後瞽女と呼ばれる盲目の門付け芸人だ。阿賀野市の出湯温泉で13年間、あんまをしたり、温泉宿で瞽女歌を歌って生活してきた。

 明治43年3月、10歳でほかの2人と三条から連れてこられて、途中で弥彦温泉に泊まった。宿でお菓子や二の膳付きのごちそうが出されたが、瞽女の親方が、食べさせてくれない。「親方、何かおかずを食べれば悪いだろうかね」と聞くと、親方は「常におまえに教えている通りだ」と言うのでご飯と汁だけにした。

 ハルさんはそんな苦しみをじっと心の中に収めてきた。だが、五里の道を歩いてきて温泉につかって、少しでも心が癒やされたのではないか。

 瞽女と関わりのある温泉を訪ねるエッセー。


(玲風書房 2000円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がもしFA3連敗ならクビが飛ぶのは誰? 赤っ恥かかされた山口オーナーと阿部監督の怒りの矛先

  2. 2

    大山悠輔が“巨人を蹴った”本当の理由…東京で新居探し説、阪神に抱くトラウマ、条件格差があっても残留のまさか

  3. 3

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  4. 4

    大山悠輔に続き石川柊太にも逃げられ…巨人がFA市場で嫌われる「まさかの理由」をFA当事者が明かす

  5. 5

    織田裕二がフジテレビと決別の衝撃…「踊る大捜査線」続編に出演せず、柳葉敏郎が単独主演

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    ヤクルト村上宗隆と巨人岡本和真 メジャーはどちらを高く評価する? 識者、米スカウトが占う「リアルな数字」

  3. 8

    どうなる?「トリガー条項」…ガソリン補助金で6兆円も投じながら5000億円の税収減に難色の意味不明

  4. 9

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  5. 10

    タイでマッサージ施術後の死亡者が相次ぐ…日本の整体やカイロプラクティック、リラクゼーションは大丈夫か?