「狙撃手の祈り」城山真一著

公開日: 更新日:

「狙撃手の祈り」城山真一著

 青井圭一は、親代わりに自分を育ててくれた叔父から受け継いだ楽器店の店主。昨年亡くなった叔父が営んでいた楽器店の上階にある自宅に、取材をきっかけに結婚したフリーライターの妻・沙月と一緒に住んでいる。

 そんなある日、圭一は沙月から離婚届を渡される。1週間取材旅行に行くので帰ってくるまでに答えを出してほしいというのだ。突然のことに驚いた圭一だったが、その後「帰ったら許してくれる?」という電話があったきり、沙月は姿を消してしまった。

 焦った圭一が、彼女の居所を見つけたくて沙月の部屋に入ったところ、28年前に起きた警察庁長官狙撃事件について彼女が調べていたことを知り、さらに叔父の遺品が入っている段ボールの中から銃弾を発見する。事件と叔父の間に何か関係があり、それを彼女が調べていたのではないか。圭一はそんな思いに駆られて、警察に足を運ぶのだが……。

 実際に起きた警察庁長官狙撃事件を下敷きに、未解決事件の真相に迫るサスペンスミステリー。妻の失踪を契機に、隠されていた真実が明らかになっていく過程がスリリングに描かれている。

(文藝春秋 1870円)

【連載】木曜日は夜ふかし本

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦は大関昇進も“課題”クリアできず…「手で受けるだけ」の立ち合いに厳しい指摘

  2. 2

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  3. 3

    マエケン楽天入り最有力…“本命”だった巨人はフラれて万々歳? OB投手も「獲得失敗がプラスになる」

  4. 4

    中日FA柳に続きマエケンにも逃げられ…苦境の巨人にまさかの菅野智之“出戻り復帰”が浮上

  5. 5

    今田美桜に襲い掛かった「3億円トラブル」報道で“CM女王”消滅…女優業へのダメージも避けられず

  1. 6

    高市政権の“軍拡シナリオ”に綻び…トランプ大統領との電話会談で露呈した「米国の本音」

  2. 7

    エジプト考古学者・吉村作治さんは5年間の車椅子生活を経て…80歳の現在も情熱を失わず

  3. 8

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  4. 9

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  5. 10

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ