「ヒトラーの馬を奪還せよ」アルテュール・ブラント著 安原和見訳

公開日: 更新日:

「ヒトラーの馬を奪還せよ」アルテュール・ブラント著 安原和見訳

 著者は自他共に認める有名な美術品探偵で、これまでも数々の美術品の盗難事件や贋作事件を解決したことで知られている。本書は、そんな著者が戦火で失われたはずの「ヒトラーの馬」の噂を聞き、発見するまでを克明につづったノンフィクション。「ヒトラーの馬」とは、総統官邸前に鎮座していた高さ3メートルを超える2頭のブロンズの馬だ。

 2014年、ブラントは美術品のブラックマーケットで密かに「ヒトラーの馬」が売り出されたことを知る。しかもカラー写真付きだ。売り手が誰であるか秘匿されたこの件を、ブラントは事務所の同僚2人と共に調べ始めたところ、この像の作者が4つのミニチュアを作り、ナチス高官に贈呈していたことが判明。ブラントらは、このミニチュアを基に贋作が作られたのではと推理し、実際、一対のミニチュアのありかも発見する。

 そんな中、ブラントはベルリンの図書館で、ある報告書の写真から売り出しの馬は本物であると確信する──。

 調査の過程で描かれる美術品の窃盗やそれを扱うブラックマーケット、表沙汰になることのないナチス絡みの団体の存在など興味は尽きない。馬を発見するまでのスリリングな攻防はまるでスパイ小説の趣で、一気読み必至だ。

(筑摩書房 2640円)

【連載】木曜日は夜ふかし本

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    女性を巡る愛憎より友情が勝った永遠のバディー

  2. 2

    萩本欽一〈27〉坂上二郎さんは一番特別な人。あのボケは誰にもできないよ

  3. 3

    かつての「打率4割男」は期待外れで戦力外…西武・林安可は母国・台湾野手の低評価を覆せるか

  4. 4

    佐々木朗希と山本由伸は“抱き合わせ”だったのか…ドジャース入りの裏で「謎の日本人」が暗躍

  5. 5

    48年ぶり映画出演の由美かおるさんが語る 人生が変わった瞬間「11PM」「水戸黄門」エピソード

  1. 6

    佐々木麟太郎に「個別育成プログラム」…マーリンズ入りには低予算球団ならではの“うまみ”あり

  2. 7

    佐藤二朗の地上波ドラマはしばらく厳しいが…橋本愛の事態はもっと深刻

  3. 8

    佐藤二朗vs橋本愛ハラスメント騒動は「文春嫌い」「フジテレビ嫌い」「共産党嫌い」が絡み合うカオスに

  4. 9

    (3)「森保監督は『指揮官に必要な冷徹さ』を確固たる信念として持っています」

  5. 10

    小栗旬がハリウッド“資本”映画で主演も… トラウマ級の英語力と「スター」への高い壁