「喫茶おじさん」原田ひ香著

公開日: 更新日:

「喫茶おじさん」原田ひ香著

 松尾純一郎は57歳。大手ゼネコンの社員だったが55歳で早期退職。一生に一度くらい自分の好きなこと、やりたいことをやろうと、妻の亜希子の不安を押し切り、中目黒の高架下でカフェを始めたが、半年でつぶした。亜希子は千葉の近くに住む大学生の娘、亜里砂の家に同居すると言って出ていったきり、帰ってこない。趣味もない純一郎は喫茶店巡りを始める。

 ある日、入った新橋のカフェで、クリームソーダを注文した。グリーンのソーダ水の上に丸いアイスクリームが浮いている。この美しさをとどめておきたいとスマホで撮影し、亜里砂に画像を送ったが返信はない。だが、純一郎は、丁寧な仕事の上に現れる普通のものに宿る美しさを知った。

 職も家庭も失った男が喫茶店を巡って人生を考える物語。

(小学館 1650円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「左膝の半月板が割れ…」横綱・豊昇龍にまさかのアクシデントで稽古中止

  2. 2

    松山千春がNHK紅白を「エコひいき」とバッサリ!歌手の“持ち時間”に求めた「平等」の正当性を考える

  3. 3

    巨人オーナーから“至上命令” 阿部監督が背負う「坂本勇人2世育成&抜擢」の重い十字架

  4. 4

    高市政権が抱える統一教会“爆弾”の破壊力 文春入手の3200ページ内部文書には自民議員ズラリ

  5. 5

    前橋市長選で予想外バトルに…小川晶前市長を山本一太群馬県知事がブログでネチネチ陰湿攻撃のナゼ

  1. 6

    チンピラ維新の「国保逃れ」炎上やまず“ウヤムヤ作戦”も頓挫不可避 野党が追及へ手ぐすねで包囲網

  2. 7

    阿部監督のせい?巨人「マエケン取り失敗」の深層 その独善的な振舞いは筒抜けだった

  3. 8

    バタバタNHK紅白 高視聴率でも今田美桜、有吉弘行らMC陣は負担増「出演者個々の頑張りに支えられた」

  4. 9

    菊池風磨のカウコン演出に不満噴出 SNS解禁でSTARTO社の課題はタレントのメンタルケアに

  5. 10

    ロッテ前監督・吉井理人氏が大谷翔平を語る「アレを直せば、もっと良く、170kmくらい投げられる」