「狂人日記。戦争を嫌がった大作家たち」副島隆彦著

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狂人日記。戦争を嫌がった大作家たち」副島隆彦著

 戦前から戦時中にかけて、日本の多くの知識人や文学者が戦争を肯定し、「皇国への賛美と翼賛体制による戦争への追随とひたすら八紘一宇の思想にのめり込んだ」。

 そんな状況の中にあっても、谷崎潤一郎は「細雪」を書き続けた。軍部によって雑誌掲載を差し止められても、妻やその妹たちをモデルに、エロスの世界を描き続け、その作品は戦後に大ベストセラーになった。著者は、谷崎には敗戦後の日本が分かっていたという。

 ロシアによるウクライナ侵攻など、核戦争を含めた第3次世界大戦の予兆を感じる著者が、谷崎をはじめ、「戦争を賛美せず、抗議もせず、嫌がって関わらなかった」作家たちの人生を振り返り、その生きる姿に注目した文学テキスト。

(祥伝社 979円)

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