「酒が薬で、薬が酒で」キャンパー・イングリッシュ著 海野桂訳
「酒が薬で、薬が酒で」キャンパー・イングリッシュ著 海野桂訳
リキュールはかつてコレラ、赤痢、便秘などの治療に用いられていた。
また、醸造酒は古代から飲まれていて、ビールは労働者の報酬として与えられていた。ピラミッド建設の労働者にも、ビールが飲料として与えられたという。当時の醸造酒はざっとこしただけで固形物が残っている粥状の液体だった。壺に入れたものを何人かが葦(あし)のストローで飲んでいる図像が残っている。
タンパク質、ビタミン、ミネラルを含むビールは、水分補給だけでなく、エネルギーの補給にも最適だった。市街地あたりの真水には人間や動物の糞便や病原菌が浮いているから、水よりもビールのほうが安全だったのだ。
禁酒法などさまざまなエピソードを交えて、酒と医療の歴史を紹介する。
(柏書房 2970円)