(13)黒方の奥深い香りが客間を埋める
![イラスト・鈴木ゆかり](https://c799eb2b0cad47596bf7b1e050e83426.cdnext.stream.ne.jp/img/article/000/336/577/ab827f8160acfcb69491135f2b7a7a2820240222141705784_262_262.jpg)
おみつは炭を沈めた灰の近くに、黒方の練り香をそっと埋めると、泰助と一緒に客間へ引き返した。
「お待たせいたしました」
目を閉じている梅里の前に、香炉を静かに置く。煙を出さずに匂い立つ黒方の香りが、ゆっくりと客間を埋めていった。
黒方は身にしみるような懐かし…
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