著者のコラム一覧
荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

睡眠薬を“手に入りにくくする”対策が命を守る

公開日: 更新日:

「睡眠薬や抗不安薬は安全」──。そんな思い込みが、じつは命に関わっているかもしれません。

 日本では処方薬の過量服薬による自殺未遂が多く、その中心にあるのが「ベンゾジアゼピン系薬剤」です。こうした現状を背景に、国の処方規制が本当に効果を上げているのかを検証した研究が報告されました。

 帝京大学の研究グループは、ベンゾジアゼピンの多剤・高用量処方に対する診療報酬上の規制が導入・強化された前後で、帝京大学医学部付属病院の高度救命救急センターICUに入院した延べ約8300人の患者データを用いて比較しました。その結果、処方薬の過量服薬による自殺未遂は、規制強化後に有意に減少していたことが明らかになりました。

 具体的には、処方薬の過量服薬による自殺未遂の割合は、規制直後の時期と比べて約3割減少。さらに、過量服薬に使われたベンゾジアゼピンの処方量そのものが減り、併用薬の数も少なくなっていたのです。つまり、薬が「手に入りにくくなった」ことが、実際に行動の抑制につながった可能性が示されました。

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