著者のコラム一覧
篠綾子作家

1971年、埼玉県生まれ。2001年、第4回健友館文学賞受賞作「春の夜の夢のごとく 新平家公達草紙」でデビュー。著書に「青山に在り」「江戸菓子舗照月堂」シリーズなど多数。

(12)「棋」を意味するのは、椋、夜交藤…

公開日: 更新日:
イラスト・鈴木ゆかり

 鶯と名乗る上品な老女が再び仙薫堂に現れたのは、暦が十一月に変わってからであった。「知り合いから聞いた話ですが」と断った後、

「椋の木が考えられる、とのことでした」

 と、教えてくれた。漢字の「棋」は「むく」と読むこともあり、椋の木の別称らしい。薬剤としては鎮痛に用い… 

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