「神奈川名建築案内」米山勇監修、山内貴範著 多くの歴史の舞台となった神奈川には名建築あり

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「神奈川名建築案内」米山勇監修、山内貴範著

 神奈川県は、歴史の転換点となった出来事が数多く起こった地であり、建築史においても重要な建物がその時々に建設され、現在でも数多く残っている。

 源頼朝による初の武家政権が拠点とした鎌倉では、優れた神社仏閣が相次いで創建された。また江戸時代末期に開港された横浜には、外国人によって多くの洋館が建つ。その後も震災や戦災からの復興の過程で、横浜には当時の最先端の技術や意匠を盛り込んだ建築が建てられてきた。

 本書は、県内にある国宝と重要文化財指定の建造物すべてを解説したビジュアルガイド。

 県内唯一の国宝建造物である鎌倉「円覚寺舎利殿」は、禅宗様を用いた仏堂の代表作で、日本建築史上でも重要な建築の一つ。舎利殿は創建以来、何度か焼失しており、現在の建物は室町時代中期の建立と推測されている。

 杮葺(こけらぶ)き屋根の勾配や軒の反りなどの均整の取れた美しさと精緻な意匠に、写真からも禅宗様の透徹した美意識を感じる。

 一方、横浜・馬車道駅正面に立つ「旧横浜正金銀行本店本館」は、明治建築界を代表する巨匠・妻木頼黄設計による横浜のシンボルのひとつ。

 1904(明治37)年に竣工された建物は、煉瓦・石造3階建てで正面中央には八角塔屋の巨大なドームを掲げ、その重厚なドイツ・バロック様式の意匠は、同時期に建てられたあらゆる銀行建築を完成度や規模の面で凌駕(りょうが)するという。

 ほかにも、県内最古級とされる17世紀前半に建てられた民家「関家住宅」などの重要文化財、そして日本で唯一クレタ文明に由来するプレ・ヘレニック様式を採用した「横浜市大倉山記念館」などの今後重要文化財に指定される可能性が高い建築物まで、70余件を網羅。

 街歩きのお供にも最適な一冊だ。 (朝日新聞出版 1760円)

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