「流転の中将」奥山景布子著

公開日: 更新日:

「流転の中将」奥山景布子著

 大坂城で新年を迎えた桑名藩主・松平定敬は、慶応4(1868)年1月6日夕刻、慶喜から城を脱出するので会津藩主の兄・容保と随行するよう命じられる。前日まで薩摩軍と全面対決する姿勢を明言していた慶喜の言葉に耳を疑うが、主君に逆らうことができない。家臣に行き先を告げることもできず、慶喜に従った定敬らは大坂湾に停泊していた開陽丸に乗り込む。

 4日後、国元で城を守る重役の酒井孫八郎は、定敬に随従する兄の服部半蔵から書状を受け取る。半蔵によると、公家の橋本実梁が「官軍」を名乗る薩摩や長州らを率いて桑名城を陥落させようと東進しているという。定敬の意向も分からない中、孫八郎は白旗を掲げ、恭順を示す決断をする。

 行き場を失い、各地をさまよう定敬の生きざまを描いた時代長編。

(PHP研究所 1078円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人・田中将大「巨大不良債権化」という現実…阿部監督の“ちぐはぐ指令”に二軍首脳陣から大ヒンシュク

  2. 2

    ヘイトスピーチの見本市と化した参院選の異様…横行する排外主義にアムネスティが警鐘

  3. 3

    国民民主党「新人都議」に渦巻く“スピリチュアル疑惑”…またも露呈した候補者選定のユルユルぶり

  4. 4

    巨人・田中将大を復活させる「使い方」…先発ローテの6番目、若手と併用なんてもってのほか

  5. 5

    「時代に挑んだ男」加納典明(25)中学2年で初体験、行為を終えて感じたのは腹立ちと嫌悪だった

  1. 6

    高橋真麻がフジ港浩一前社長、大多亮元専務を擁護の赤っ恥…容姿端麗な女性集めた“港会”の実態知らず?

  2. 7

    参院選「自民裏金議員15人」で当確5人だけの衝撃情勢…比例は組織票があっても狭き門

  3. 8

    ドジャースが欲しがる投手・大谷翔平の「ケツ拭き要員」…リリーフ陣の負担量はメジャー最悪

  4. 9

    井上真央ようやくかなった松本潤への“結婚お断り”宣言 これまで否定できなかった苦しい胸中

  5. 10

    “お荷物”佐々木朗希のマイナー落ちはド軍にとっても“好都合”の理由とは?