「戦略的長生きする人の考え方」浅川雅晴氏

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「戦略的長生きする人の考え方」浅川雅晴氏

 人生100年時代といわれているが、最近はなんと120歳まで生きられるのでは?という説も出てきている。

「長生きするには、自分なりに楽しく過ごすことが大事です。しかし、もう一工夫が必要です。今は年齢や季節によって起こる病の傾向が判明しつつあります。そうした“予測”を戦略的に活用しない手はありません」

 そう話すのは、40年近く精神科医として多くの患者を診てきた著者。本書では、1月から12月まで月ごとに発症しやすい病気や心の持ちよう、食の管理など元気に生きる実践法(戦略)をアドバイスしている。

「私がお勧めする第1の戦略は、人生後半にあるピークを意識することです。人生のピークといえば多くの人は20代など若い頃を思い描くかもしれませんが、実は70歳ごろにもう一度チャンスが訪れるんです。老化現象というのは20代から徐々に始まるものの、70歳から75歳くらいのときにいったん止まるんですね」

 女性は55~65歳くらいに、女性ホルモンの減少によって更年期障害が起こり、男性も男性ホルモンが60~65歳くらいに減ってくる。男女の性ホルモンの減少がゆっくりとなり、安定するのが70~75歳なのだという。一方、骨や軟骨などにわずかなゆとりができて神経の圧迫が抑えられ、脚腰の痛みが和らいでいく。

「70~75歳は、いわば老後の思春期ですね(笑)。でも思春期を楽しむためには骨と筋肉を作っておかなければなりません。60歳を過ぎたら女性は特に意識して大豆製品や小魚を取りカルシウムを補い、男性も野菜や魚、鶏肉中心の食に変えるといいですね」

 第2の戦略は季節を攻略することだという。たとえば3月は心身症が起こりやすいので注意が必要だが、同時に季節を感じることで体内の生物時計が正しく働き出す。それは生殖機能にも関わる。

「巷では“春は恋の季節”とも言われていますが本当です。夫を亡くしてうつ病になっていた患者さんが、あるとき急にきれいになったんです。聞けば恋人ができたそうで、そのうちうつの薬も必要なくなりました。恋をすると、脳から幸せホルモンと呼ばれるセロトニンや意欲をもたらすドーパミンがより多く分泌されます。気持ちが体を引っ張っていくわけですね。また春は何かを始めるにも最適です」

 一方、秋はスランプに陥りやすい季節である。人の体は日照時間の変化にも対応していることが近年明らかになってきており、日照時間が少なくなるとうつ症状が強くなる人が増加するそうだ。

「気分の落ち込みには自然とのふれあいがお勧め。公園などに出かけて、ぜひ日ざしや風を感じてみてください。その際、スマホは禁止で(笑)。スマホは長時間使うと脳疲労を起こす上に、その便利さに脳が退化してしまいます。リアルに人に会う、体験することは認知症予防にもつながります」

 他にも日記を書く、大掃除は11月になど日常生活での行動のタイミングも紹介。また、本書の随所に前年と現在の自分について記録する欄もあり、変化がわかりやすい。

「幸せは自分の選択次第。精神の安定があって健康な体ができることを覚えておきたいですね」 (KKロングセラーズ 1320円)

▽浅川雅晴(あさかわ・まさはる)1958年生まれ。浅川クリニック(東京都江東区)院長。精神保健指定医。日本精神神経学会専門医。著書に「そうか!90歳はまだ中年なのか!「小中高生の心のセラピー」「親に読んでもらいたい本」など。

【連載】著者インタビュー

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