「光の犬」松家仁之著

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「光の犬」松家仁之著

 東海道線で勤務先の大学に向かう添島始は、自分の後ろに消失点が迫ってきていることをまだ知らない。母の登代子によると、始は逆子で生まれたらしい。姉の歩も逆子だったが、産婆だった祖母のよねによって取り上げられ安産だったという。始のときには、よねはすでに亡くなっており、総合病院で生まれた。

 いつものように講義を終えて戻った始の研究室には、ほとんど私物は残されていない。始は間もなく仕事をやめ、故郷の北海道の枝留に帰るつもりなのだ。祖母の助産院があった場所には、今両親と伯母が住んでいる。映像会社に勤務する妻は、同行する気がないことは分かっている。

 明治35年に長野県で生まれたよねにはじまり、始の両親、始と姉・歩の100年にわたる家族の物語を描いた長編。 (新潮社 1045円)

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