「ねこまた 狸穴素浪人始末」由原かのん著
「ねこまた 狸穴素浪人始末」由原かのん著
浪人の猫矢又四郎は、江戸城下から離れた麻布の荒物屋の用心棒として暮らす。主人の娘・お清に片思いする又四郎だが、お清は5年前のある事件で深く傷つき、まだ立ち直っていない。そんなお清の心の支えが黒猫のかちんだった。
ある日、姿が消えたかちんの行方を追い狐狸妖怪が出ると噂される狸穴に迷い込んだ又四郎は、真麻という妖(あやかし)と交信。以来、かちんと会話ができるようになる。
そんな中、又四郎は父の友人だった野川と再会する。又四郎は母の不義を疑い朋輩を斬り出奔した父を許せずにいた。かちんに導かれ、再び真麻に会いに行った又四郎は巷を騒がす女の辻斬りに遭遇。真麻によると逃げたその女が又四郎の新たな道を開くという。
江戸を舞台にした時代物の怪ファンタジー。 (光文社 770円)