「奇跡の母親脳」チェルシー・コナボイ著 竹内薫訳
「奇跡の母親脳」チェルシー・コナボイ著 竹内薫訳
子育てと脳の関係を巡るサイエンスリポート。
妊娠や出産によって、女性は脳の仕組みが大きく変化し、それは短期ではなく、何年にもわたって続く。その変化はただのホルモンの反応ではなく、これから始まる育児という過酷で複雑な仕事に向けて、自らを再編成しているのだそうだ。
この仕組みを支えているのが「アロスタシス」という考え方だ。アロスタシスとは、外からの変化ストレスに対して、体や脳が自分なりのバランスを取り直していく、いわば「新しい平常」をつくり出す力のこと。実は、このような脳の変化は決して出産した女性だけに起こるのではなく、父親でも養子を育てる人でも、赤ちゃんと日常的に関わり続けることで起こる。
母性神話を見直し育児と脳の謎に迫った力作。
(新潮社 1375円)