「あなたの命綱」久坂部羊著

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「あなたの命綱」久坂部羊著

 ノンフィクション作家の中道颯子は、ある講演会で悪性度の高いがんを発見する検査キットの話を耳にする。颯子は、医師の榊修治に意見を求めたが、そう簡単に白黒つけられそうになかった。そんなとき、ステージ4の肺がんと診断された友人が、すべての治療をやめてしまったことを知る。どうやらAIに相談してさまざまな代替療法を試しているらしい。颯子は彼女を標準治療に戻そうと説得するのだが……。

 最新のがん医療がテーマの本を執筆予定の主人公が、あらゆる専門家を訪ねてその実態を明らかにする医療小説。免疫チェックポイント阻害剤や分子標的薬、がんワクチンなど、次々と新療法が生まれる中、現時点の治療の実態はどこにあるのか、颯子の取材を通して明らかになっていく。

 利点だけに焦点が当たりがちなマスコミ報道の特性や医療ベンチャーの資金集め、さらにはAIの問題点など、がん治療を巡る社会状況にも言及。がんになったら死ぬか治るかの2択ではなく、「治らないけれど死なない」という第三の道が見えてきた今、がん治療をどう捉えるべきか考えさせてくれる一冊となっている。

 (朝日新聞出版 1980円)

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