軍都・熊本の隆盛と共に栄えた二本木遊郭の知られざる歴史「かつてこの町に巨大遊廓があった」澤宮優著

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「かつてこの町に巨大遊廓があった」澤宮優著

 昭和33年の売春防止法によって禁止されるまでは、全国に存在していた遊郭。西日本随一といわれた熊本の二本木遊郭もそのひとつだ。誕生したのは明治10(1877)年。白川と坪井川に挟まれ足抜け(逃亡)できない天然の廓ともいえる立地で、高層の木造建築が軒を並べる光景は壮観。なかでも東雲楼はもっとも豪華で、水前寺成趣園を模した大庭園は総面積3300余坪、庭園を取り囲むように25棟もの建物が配置されていたという。そんな東雲楼を擁する二本木遊郭は、第6師団が同地に置かれた関係で大繁盛。明治の元勲をはじめ政財界、官吏たちの高級な社交場でもあった。

 明治33(1900)年、その東雲楼でストライキが起こる。娼妓約50人が「自由廃業」を願い出たのだ。彼女らを歌ったといわれる「東雲節」は全国に広がり、半ば奴隷のように扱われてきた女性たちの行動は、やがて「廃娼運動」につながっていく。

 軍都・熊本の隆盛とともに栄えた二本木遊郭の知られざる歴史を10年かけて聞き取ったノンフィクション。住人と娼妓との親しい付き合いなど遊郭を中心とする共同体の姿、ここを故郷に持つ俳優や文化人の証言、楼主の人柄まで、土地を訪ね歩いた著者が二本木遊郭の実相、かつての町の声を浮かび上がらせる。

(忘羊社 2090円)

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