木村大作監督が映画「春を背負って」に込めた骨太メッセージ
本職がカメラマンなので、景色や映像美ばかりにこだわるのかなと思っていたら、さにあらず。そういうメッセージ性もきちんと用意していることに驚きました。木村監督はヘリコプターを使った空撮に頼らず、カメラを担ぎ、自分の目線から撮影することにこだわっている。それによって、登山の楽しさや臨場感がスクリーンから伝わってくるのです」(映画批評家の前田有一氏)
劇中、父・勇夫の造った「菫(すみれ)小屋」を継いだ松山ケンイチ扮する亨に、豊川悦司演じる勇夫の親友・ゴロがこんなことを言う。
「この菫小屋にはヘリを飛ばして物を運ぶ余裕はないぞ。自分の足で運んだ食材で、愛ちゃん(蒼井優)が心を込めて作るからお客さんが喜んでくれるんだ」
これは「自分の足で登って撮影しているからこそ山の魅力が伝わる」という木村のメッセージのようにも聞こえる。映画を見たら夏山へ登りたくなりそうだ。