著者のコラム一覧
井上理津子ノンフィクションライター

1955年、奈良県生まれ。「さいごの色街 飛田」「葬送の仕事師たち」といった性や死がテーマのノンフィクションのほか、日刊ゲンダイ連載から「すごい古書店 変な図書館」も。近著に「絶滅危惧個人商店」「師弟百景」。

(4)お別れの時間を大幅にコントロールできるのもメリット

公開日: 更新日:

「エンバーミング」は、近年日本でも広く知られるようになった。2024年の施行件数が全死者の5.1%。2014年に2%だったので、この10年で約2.6倍に増えたことになる。

 その言葉が「日本に導入」の文脈で国内の一般誌に載った最初は1993年。96年には「現代用語の基礎知識」に掲載された。以降、時折メディアで紹介されたものの、「人為的」「商業主義」といった批判もあった。しかし、エンバーミング遺体を一度でも目にすると、何よりも説得力がある。「ウチのときも」となる人が多いのも納得だ。そのため、家族葬が隆盛で、全葬儀費用が抑えられるようになっても、「これだけは譲れない」とエンバーミングは選ばれていると筆者はみている。

 施術をする「エンバーマー」は民間資格だが、2021年から防衛省が予備自衛官補に任用する専門技能に認め、現在13人の予備自衛官補のエンバーマーがいる。いわば国のお墨付きともいえる扱いになっているのだ。今グーグルで日本語の「エンバーミング」と検索すると、約30万件もがヒットする。選んだ人たちの声を聞こう。

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