「昭和ラブホへ、20代女子がひとりで巡った205軒」ゆなな著
「昭和ラブホへ、20代女子がひとりで巡った205軒」ゆなな著
平成生まれの著者は、大学生のときに写真で見た昭和時代のラブホテルのスペースシャトル形の動くベッドに衝撃を受けたという。その昭和テイストに新鮮味を感じ、「私は昭和ラブホと出会うために生まれてきたんだ!」と、以来、突き動かされるように全国の昭和ラブホを「1人」で訪ね歩き、泊まり、カメラに収めてきた。
その数200軒以上。本書は、その中から選り抜きの50軒を紹介しながら、昭和ラブホの魅力を伝える写真集。
ラブホといえば、回転ベッドや総鏡張りの部屋などを思い出す昭和世代も多いことだろう。
しかし、1985(昭和60)年の新風営法の施行でラブホテルに回転ベッドや一定以上の大きさの鏡などを設置することは難しくなってしまったそうだ。
ゆえに著者が定義する昭和ラブホとは、この新風営法の施行前に開業し、その後、大きな改装もせずに当時の趣が残っているラブホテルのことを指すという。
そんな昭和ラブホの横綱ともいえるのが、宮城県大崎市の「ホテル 赤いくつ」。
同ホテルのディスコの部屋(表紙)は、回転ベッドに寝転んで見上げればミラーボールが瞬き、さらにフラッシュライトやカラフルなネオンサインが鏡張りの壁に反射して「エネルギッシュなムード全開」だ。
ほかにも、大きなルーレットが天井に据えられたカジノをテーマにした部屋やふわふわと宙に浮いているような感覚になる総鏡張りの部屋など回転ベッド常設の部屋から、神社の本殿のような高床式のベッドや屋形船の形をしたベッドなどが設置された和風テイストの部屋、さらに中国風まで多彩な部屋が揃ったラブホの総合デパートのような施設だ。
広島県廿日市市の「ホテル 夢の国」の50号室は、メゾネットタイプ。2階に設置されたカプセル形のベッドが吹き抜けに飛び出すように設置され、階下につながるウオータースライダーに身を任せれば、バスタブまで直行という趣向だ。
数年前に廃業の危機に陥ったが、現在の代表が「ここは残すべき」と営業を引き継ぎ存続。著者いわく「ココを訪ねるためだけに広島に行きたくなる」ほど中毒性のある昭和ラブホだという。
中には、総工費36億円、内装はイタリアから職人を呼んで施工したという、ヨーロッパの宮殿の寝室を思わせるゴージャスなラブホもある。千葉県柏市の「ホテル ブルージュ」だ。
かと思えば、埼玉県川越市の「旅荘 山楽」のようにタイル張りの浴室のバスタブは、昭和の家庭風呂のようなステンレス製で、部屋にはこたつ、その上にはサービスの梅干しとのど飴など、時間が止まったままのようなラブホもある。
そんな個性豊かな昭和ラブホをそれぞれ「ゴージャス系」「王道系」「ギミック系」「激シブ系」に分類し、訪問リポートとともに多くの写真で紹介。
ある世代には懐かしく、ある世代には斬新な昭和の遺産の貴重な記録だ。 (二見書房 2420円)



















