評論家・前田有一氏が映画で読み解く「キューバ国交正常化」

公開日: 更新日:

 半世紀にわたる対立を経て、オバマ米大統領とキューバのラウル・カストロ国家評議会議長が国交正常化に向け動き出した。そんな中、この歴史的瞬間を予期、祝福するかのような親キューバ映画が28日から公開される。失業したシェフが一念発起、幼い息子とキューバサンドの移動販売をしつつ全米を横断するロードムービー「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」(14年、米)だ。

 この映画の何が思わせぶりかって、キューバ人のソウルフードたるサンドを、主人公が全米で売り回りつつ各州の郷土料理とミックスさせ、改良する展開だ。まるでキューバと米国のように、主人公と仲の悪いグルメ評論家が出てくるが、彼がこのサンドをどう評価するか。その後の2人の驚くべき行動とは!?

 あまりにデキすぎた、単なるハッピーなグルメ映画の枠にとどまらない、まさに2国間の和解時代にふさわしい作品だ。

 両国の複雑な関係を理解するための過去作としては、まず「ダンシング・ハバナ」(04年、米)がある。87年のダンス映画「ダーティ・ダンシング」の舞台を58年のキューバに移した再映画化で、移住してきた米国人少女と現地の青年の恋を描く。このころキューバは米国の半植民地で、まだこんな交流もありえたわけだ。踊りを通じて深まる2人の情熱的な関係は、やがてキューバ革命の勃発で反転する。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    センバツ人気低迷の真犯人!「スタンドガラガラ」なのは低反発バット導入のせいじゃない

    センバツ人気低迷の真犯人!「スタンドガラガラ」なのは低反発バット導入のせいじゃない

  2. 2
    三田寛子ついに堪忍袋の緒が切れた中村芝翫“4度目不倫”に「故・中村勘三郎さん超え」の声も

    三田寛子ついに堪忍袋の緒が切れた中村芝翫“4度目不倫”に「故・中村勘三郎さん超え」の声も

  3. 3
    若林志穂が語った昭和芸能界の暗部…大物ミュージシャン以外からの性被害も続々告白の衝撃

    若林志穂が語った昭和芸能界の暗部…大物ミュージシャン以外からの性被害も続々告白の衝撃

  4. 4
    (6)「パンツを脱いできなさい」デビュー当時の志穂美悦子に指示したワケ

    (6)「パンツを脱いできなさい」デビュー当時の志穂美悦子に指示したワケ

  5. 5
    夏の甲子園「朝夕2部制」導入の裏で…関係者が「京セラドーム併用」を絶対に避けたい理由

    夏の甲子園「朝夕2部制」導入の裏で…関係者が「京セラドーム併用」を絶対に避けたい理由

  1. 6
    井上真央ようやくかなった松本潤への“結婚お断り”宣言 これまで否定できなかった苦しい胸中

    井上真央ようやくかなった松本潤への“結婚お断り”宣言 これまで否定できなかった苦しい胸中

  2. 7
    マイナ保険証“洗脳計画”GWに政府ゴリ押し 厚労相「利用率にかかわらず廃止」発言は大炎上

    マイナ保険証“洗脳計画”GWに政府ゴリ押し 厚労相「利用率にかかわらず廃止」発言は大炎上

  3. 8
    「大谷は食い物にされているのでは」…水原容疑者の暴走許したバレロ代理人は批判殺到で火だるまに

    「大谷は食い物にされているのでは」…水原容疑者の暴走許したバレロ代理人は批判殺到で火だるまに

  4. 9
    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

  5. 10
    大谷は口座を3年放置のだらしなさ…悲劇を招いた「野球さえ上手ければ尊敬される」風潮

    大谷は口座を3年放置のだらしなさ…悲劇を招いた「野球さえ上手ければ尊敬される」風潮