“卒業生”作品で話題に「ジェネリックジブリ」って何だ?

公開日: 更新日:

 アニメ映画「メアリと魔女の花」は、監督の米林宏昌氏がスタジオジブリを退社後に初めて手掛けた作品。ジブリ時代には、「千と千尋の神隠し」「ハウルの動く城」などの原画を担当。「借りぐらしのアリエッティ」「思い出のマーニー」ではメガホンを取った。

 プロデューサーも“ジブリ卒業生”で、「ジェネリックジブリ」といわれることも。ジブリっぽいけど、ジブリではない後発作品という皮肉な表現らしい。なぜそう呼ばれるのか。映画ライターの斎藤香氏に聞いた。

「まず、米林監督の前作『思い出のマーニー』が良くて、本作は期待していたのですが、正直マーニーほどの感動はありませんでした。マーニーには、宮崎駿監督(写真)が描かない世界がありました。画風はジブリでも、描く世界が違った。ジブリの色を持ちつつも、宮崎駿ではない次世代が出てきたと思えたんです」

 米林監督は2年前に独立。自ら設立したスタジオポノックで本作をリリースした。

「本作は、まだ足腰が弱い新スタジオで製作した最初の作品。成功させて波に乗りたいという思いと、オリジナリティーを出していきたいという思いのせめぎ合いがあったのではないでしょうか。しかも東宝配給で、スポンサーもつき、アニメの大作的な扱いになり、CMも大々的に展開。こうした経緯からも、ジブリらしさを求められたのではないでしょうか。ただ、米林監督は宮崎監督ほどアクの強い作風ではなく、ジブリに寄せた結果、米林監督本来の魅力が薄まり、“ジェネリックジブリ”になってしまったのではないでしょうか」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  3. 3

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  4. 4

    巨人阿部監督はたった1年で崖っぷち…阪神と藤川監督にクビを飛ばされる3人の監督

  5. 5

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  1. 6

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  2. 7

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  3. 8

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  4. 9

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  5. 10

    (2)事実上の「全権監督」として年上コーチを捻じ伏せた…セVでも今オフコーチ陣の首筋は寒い