円丈師匠「新作に必要なのはプロの芸と素人の発想だ」

公開日: 更新日:

 1989年、福家書店を退社した喬太郎は、銀座の<わんや>という料理屋で半年間働いた。学生時代に2年間アルバイトした店で、そこでは毎週土曜の夜、落語会を開いており、勤務中に落語が聴けた。

「前座、二つ目、真打ちと毎回3人の落語が聴けて、その間も時給が発生しますから、ありがたい職場です。落語協会の主立った真打ちはほとんど聴きましたね」

 そして、師匠に選んだのは、当時まだ若手真打ちだった柳家さん喬である。

「当然ですが好きだったこと。新作落語をやるにしても、古典の基礎を身に付けなきゃいけない。それには古典がうまい師匠に弟子入りすべきと考えたこと。それと、大変生意気な言い方かもしれませんが、さん喬は間違いなく名人になる人だ。名人になっていく過程を弟子として見ていたいと思ったのです」

 弟子入りが許されて、もらった前座名が柳家さん坊。寄席や師匠の会では古典を教わった通りにやっていたが、前座の勉強会と新作落語の旗手、三遊亭円丈が主宰する「応用落語の会」だけは新作落語を演じてもよかった。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 2

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  3. 3

    FNS歌謡祭“アイドルフェス化”の是非…FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE登場も「特別感」はナゼなくなった?

  4. 4

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  5. 5

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  1. 6

    兵庫県・斎藤元彦知事らを待ち受ける検察審の壁…嫌疑不十分で不起訴も「一件落着」にはまだ早い

  2. 7

    カズレーザーは埼玉県立熊谷高校、二階堂ふみは都立八潮高校からそれぞれ同志社と慶応に進学

  3. 8

    日本の刑事裁判では被告人の尊厳が守られていない

  4. 9

    1試合で「勝利」と「セーブ」を同時達成 プロ野球でたった1度きり、永遠に破られない怪記録

  5. 10

    加速する「黒字リストラ」…早期・希望退職6年ぶり高水準、人手不足でも関係なし