著者のコラム一覧
てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。最新著「王者の挑戦『少年ジャンプ+』の10年戦記」(集英社)、伝説のテレビ演出家・菅原正豊氏が初めて明かした番組制作の裏側と哲学をまとめた著者構成の「『深夜』の美学」(大和書房)が、それぞれ絶賛発売中!

南キャン山里亮太 エネルギーの源は“理想の自分”への嫉妬

公開日: 更新日:

 そして2004年、山里がしずちゃんのキャラクターを最大限生かした漫才を書き上げ、「M―1グランプリ」(テレビ朝日)の決勝に駒を進めた。それは強烈なインパクトだった。またたくまに南海キャンディーズは時代の寵児になった。

 だが、やはり世間の視線はわかりやすい、しずちゃんのキャラに集まった。彼女には映画出演のオファーも舞い込んだ。それに山里は嫉妬した。加えて、「私は私のペースでやる」とお笑い芸人としての努力を放棄したような彼女の態度に怒りを覚えた。

「いつでも捨てられる準備を」「相方が遊んでいる間にエピソードを作り、1人で発表する場を作る」などとノートにしたため(朝日新聞出版=山里亮太著「天才はあきらめた」18年7月6日発売)、それを実行していった。

 オードリーの若林と「たりないふたり」というコンビを結成した時のこと。漫才を披露した後、若林が満足げに舞台を降りると、山里は「あそこ、ごめん! もうちょっと間を取ったほうが良かったよね!」などと毎回のように反省の弁を口にしたのだという。たとえ99%の成功があったとしても1%のミスに注目し、それに苦悶し、反省し、格闘するのが山里だと若林は語る(同前)。

 そう、山里亮太の最も強大な敵で、最も怒りの対象になっているのは、自分自身なのだ。彼は“理想の自分”に常に嫉妬している。それこそが、彼のエネルギーの源泉で、だからこそ、山里は努力し続けられるのだ。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「マラソン」と「大腸がん」に関連あり? ランナー100人への調査結果が全米で大きな波紋

  2. 2

    巨人FA捕手・甲斐拓也の“存在価値”はますます減少…同僚岸田が侍J選出でジリ貧状態

  3. 3

    高市総裁「首相指名」に漂う不安…自民党内は“厭戦ムード”も燻る火種、飛び交う「怪文書」の中身

  4. 4

    秋季関東大会で横浜高と再戦浮上、27連勝を止めた「今春の1勝」は半年を経てどう作用するか

  5. 5

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  1. 6

    高市自民、公明からの三行半で早くも本性露呈…「やられたら秒でやり返す」「イキらなきゃ負け」のオラオラ体質

  2. 7

    出来たとしても高市政権は短命…誰も見通せない激動政局の行方を徹底分析(前編)

  3. 8

    佐川宣寿元理財局長のメール開示「遺族と話し合う」…森友文書で加藤財務大臣が明言

  4. 9

    進次郎氏落選もダメージなし? 妻・滝川クリステルが目指した「幸せ家庭生活」と耳にしていた夫の実力

  5. 10

    侍J井端監督 強化試合メンバー発表の裏に「3つの深謀遠慮」…巨人・岡本和真が当選のまさか