著者のコラム一覧
一雫ライオン作家

1973年、東京都出身。明治大学政治経済学部2部中退。俳優としての活動を経て、演劇ユニット「東京深夜舞台」を結成後、脚本家に。数多くの作品の脚本を担当後、2017年に「ダー・天使」で小説家デビュー。21年に刊行した「二人の嘘」が話題となりベストセラーに。著書に「スノーマン」「流氷の果て」などがある。

(124)渡部亨がひたすら憎かった

公開日: 更新日:
イラスト・宮坂猛

 大橋は淡々とカメラに向かって話しつづける。その表情はこの状況を達観しているかの如く、落ち着き払っているように林檎には見えた。スクリーンのなかの大橋の声が帳場に響く。

「自分がしていることは間違っていないなどと、わたしは思っていません。むしろ間違いだらけである、そう自覚して… 

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